チェックとチェックメイトの違い:チェックを受ける3つの方法

チェスを始めたばかりのころ、「チェック」と「チェックメイト」の区別があいまいなまま指している人は多いと思います。どちらも相手のキングをねらう言葉で、名前も似ています。けれど、片方は対局の途中に何度でも起きることで、もう片方は対局の終わりです。
この記事では、二つの違いを定義から確かめ、チェックをかけられたときの3つの受け方を、局面を使って説明します。ルールの確認には、国際チェス連盟(FIDE)の競技規則を使いました。局面は私が置いたもので、どれもチェスのプログラムで指せる手を確かめてあります。
チェックとは
FIDE の競技規則では、キングが相手の駒の1つ以上に攻撃されているとき、そのキングは「チェックされている」と定めています。次の手で取られる位置にいる、ということです。
チェックされた側は、次の手で必ずチェックを解かなければなりません。規則には、自分のキングをチェックにさらす手や、チェックされたままにする手は指せない、とあります。チェックを放っておいてほかの手を指すことはできませんし、自分からキングを相手の駒が利いているマスに動かすこともできません。
ちなみに、FIDE の規則には、チェックを声に出して告げる決まりはありません。友達同士で「チェック」と言うのは習慣で、言わなくても反則ではありません。
チェックメイトとは
チェックされていて、それを解く手がひとつもない状態がチェックメイトです。チェックメイトにした側の勝ちで、対局はそこで終わります。キングを実際に取ることはありません。
ここで間違えやすいのが、ステイルメイトとの違いです。指せる手がない点は同じですが、チェックされていなければ引き分けです。この違いは ステイルメイトの記事 に詳しく書きました。
つまり、チェックメイトかどうかは、「チェックを解く方法がひとつでも残っているか」で決まります。その方法は、次の3つしかありません。
チェックを受ける3つの方法
- キングが逃げる。 相手の駒が利いていないマスへキングを動かします。
- チェックしている駒を取る。 キング以外の駒で取っても、キングで取ってもかまいません。キングで取るときは、取ったマスに相手の別の駒が利いていないことが条件です。
- 間に駒を置く。 チェックしている駒とキングのあいだのマスに、自分の駒を動かして利きをさえぎります。
例で見ます。
局面A: 白のキングが a1、白のルークが e1。黒のキングが e8、黒のビショップが c5、黒のナイトが f3。黒の手番。
e1 のルークが e 筋をまっすぐ通して、e8 の黒のキングをチェックしています。黒が指せる手は8つで、3つの方法が全部そろっています。
- 逃げる: Kd8、Kf8、Kd7、Kf7 の4つ
- 取る: Nxe1。f3 のナイトが e1 のルークを取ります
- 間に置く: Be7、Be3、Ne5 の3つ
この局面ではルークをただで取れる Nxe1 がいちばんよい手ですが、ルール上はどれを選んでもチェックは解けます。3つの方法を順番に探す習慣があると、いちばんよい受けを見落としにくくなると思います。
3つ目の方法が使えないチェックもあります。ナイトのチェックは跳んで届くので、間に置くマスがありません。キングのすぐ隣からのチェックも同じです。この場合は、逃げるか取るかの2つから選びます。
取れそうで取れない駒
駒が相手の駒を取れる位置にあっても、取れないことがあります。その駒を動かすと、自分のキングがチェックされてしまう場合です。この状態を「ピン」と言います。
局面B: 白のキングが a1、白のビショップが c3、白のルークが g4。黒のキングが g7、黒のナイトが e5。黒の手番。
g4 のルークが g 筋で黒のキングをチェックしています。e5 のナイトは g4 に跳べるので、ルークを取れそうに見えます。g6 に跳んで間に入ることもできそうです。けれど、e5 のナイトは c3 のビショップと g7 のキングを結ぶ斜めの線の上にいます。ナイトが動くと、ビショップの利きがキングまで通ってしまいます。
だから、この局面で黒が指せるのはキングの6つの手だけです。c3 のビショップがいなければ、Nxg4 と Ng6 も指せます。受けを探すときは、取る駒や間に入る駒が、本当に動ける駒かどうかも確かめます。
ダブルチェックでは逃げるしかない
2つの駒で同時にチェックすることを「ダブルチェック」と言います。多くは、1つの駒が動いてチェックし、同時にその後ろにいた駒の利きが通ってチェックになる形です。
局面C: 白のキングが h1、白のルークが e1、白のナイトが e5。黒のキングが e8、黒のビショップが c5、黒のポーンが g7。白の手番。
白が Nf6+ と指すと、f6 のナイトが e8 をチェックし、同時に e 筋が空いて e1 のルークもチェックします。
黒は g7 のポーンで f6 のナイトを取れそうですが、取ってもルークのチェックが残ります。c5 のビショップを e7 に置けばルークの利きは止まりますが、ナイトのチェックが残ります。1手で2つのチェックを同時に解く「取る」や「間に置く」はないので、キングが逃げるしかありません。この局面で黒が指せるのは Kd8、Kf8、Kf7 の3つだけです。逃げるマスもなければ、ダブルチェックはそのままチェックメイトです。
3つとも使えないとき
局面D: 白のキングが g1、白のルークが e8。黒のキングが g8、黒のポーンが f7、g7、h7。黒の手番。
e8 のルークが8段目を通して g8 のキングをチェックしています。キングの前は自分のポーンでふさがり、f8 と h8 にはルークが利いています。逃げるマスはありません。ルークを取れる黒の駒もありません。間の f8 に置ける駒もありません。3つとも使えないので、チェックメイトです。最下段で起きるこの形は「バックランクメイト」と呼ばれ、詰チェスの始め方 でも紹介しました。
ここに黒のビショップを b4 に1つ足すと、結果が変わります。ビショップが b4 から f8 に動いて間に入れるので、Bf8 で受かります。チェックメイトではありません。チェックメイトかどうかの判定は、相手の駒が1つ増えるだけで変わるほど細かいものです。
キャスリングでは逃げられない
もうひとつ、初心者がときどき間違える決まりがあります。キャスリングは、キングがチェックされているあいだは指せません。FIDE の規則では、キングのいるマスや、キングが通るマス、着くマスに相手の駒が利いているとき、キャスリングは一時的にできないとされています。チェックを受けたら、キャスリング以外の3つの方法で解きます。
こどもに説明するときは
こどもに教えるときは、「逃げる、取る、間に入れる」と短い言葉で3つを覚えてもらうのがよいと思います。チェックされたら、その順番に声に出して探してもらう。どれもなければ、それがチェックメイトです。
自分がチェックをかける側のときも、同じ3つを相手の立場で確かめます。逃げられるか、取られるか、間に入られるか。3つとも「いいえ」なら、その手はチェックメイトです。私は、チェックとチェックメイトの違いは、言葉で覚えるより、この3つの確認を何十回もくり返すうちに体に入るものだと考えています。
詰チェスでの使い方
メイト問題を解くときも、この3つの確認がそのまま役に立ちます。チェックをかける手を考えたら、黒のキングが逃げるマス、チェックした駒を取れる黒の駒、間に入れる黒の駒を、ひとつずつ数えます。一つでも残れば、その手ではまだメイトになりません。
逆に、チェックしない静かな手が正解のときは、その手のあとで黒が何をしても、次のチェックで3つの方法が全部なくなるように準備しておく手だと考えると、読みやすくなると思います。メイト問題の読み方は 詰チェスの始め方 に、キングとクイーンで追い詰める手順は キングとクイーンでメイトする手順 に書きました。
毎日のメイト練習に
Chess365 は、2手・3手・4手・5手メイトを各1000問収録した詰チェスのアプリです。いつも白番で、ルール上指せる手ならどれでも指せて、黒は最も粘る受けを返します。黒は逃げる、取る、間に置くの3つから最も長く粘れる手を選ぶので、受けを見落とした手順では、盤の上でそのとおりに逃げられます。
盤面では、チェックされているキングが赤く表示されます。棋譜は英語圏と同じ書き方で、チェックの手には「+」、チェックメイトの手には「#」が付きます。メイトできずに終わったら、3回までやり直せます。
アプリの使い方は Chess365 の始め方 に書きました。駒の動きやチェスのルールから覚えたい方には、StudyX Mindsports の入門レッスンがあります。
