キングとクイーンでメイトする手順

チェスの対局で相手の駒を取り続けると、最後に相手のキング1枚と、自分のキングとクイーンが残ることがあります。駒の上では大差の勝ちです。それでも、初心者のうちはここからメイトできずに、チェックを続けているうちに引き分けになってしまうことがあります。
英語版 Wikipedia の Checkmate によれば、キングとクイーン対キングの終盤は、どの局面から始めても10手以内にメイトできます。手順を知っていれば難しくありません。この記事では、その手順を4つの段階に分けて書きます。例に使う局面と手順は、私が置いて確かめたものです。
クイーンだけではメイトできない
最初に覚えておきたいのは、クイーン1枚では相手のキングをメイトできないということです。クイーンが離れたところからチェックしても、キングにはたいてい逃げるマスがあります。クイーンがキングのすぐ隣でチェックすれば逃げ場は減りますが、守る駒がなければ、そのクイーンはキングに取られてしまいます。
だから最後は、必ず自分のキングの助けがいります。手順は大きく分けて次の4つです。
- クイーンで、相手のキングが動ける範囲(箱)を作る
- 箱を少しずつ小さくして、キングを盤の端に追う
- 自分のキングを近づける
- メイトする
チェックを続けることは目的ではありません。むしろ、チェックをかけずに静かにマスを奪っていくほうが、早く終わります。
1. 箱を作る
クイーンは縦・横・斜めにどこまでも利くので、1枚で盤を区切ることができます。クイーンがいる筋(縦の列)と段(横の列)を、相手のキングは越えられません。その線の内側が、キングの「箱」です。
例の局面です。
局面1: 白のキングが e1、白のクイーンが d4。黒のキングが e6。黒の手番。
クイーンは d 筋と4段目に利いているので、黒のキングは e〜h 筋、5〜8段目の16マスの中に閉じ込められています。黒のキングが動けるマスは e7、f7、f5 の三つです。
ここで大事なのは、クイーンが黒のキングからナイトの跳ぶ位置にいることです。d4 から e6 は、ナイトの動きと同じ形です。この位置だと、クイーンはキングに近すぎず、チェックにもならず、それでいて箱の二辺を押さえられます。
2. 箱を小さくして端に追う
ここからは、黒のキングが動くたびに、クイーンも同じ向きのナイトの位置へついていきます。キングが右か上に動けば、クイーンも同じだけ動いて、箱が一回り小さくなります。
局面1から、黒が中央に残ろうとした手順の一例です。
- 黒 Kf5、白 Qe3。箱は f〜h 筋、4〜8段目
- 黒 Kg4、白 Qf2。箱は g〜h 筋、3〜8段目
- 黒 Kg5、白 Qf3
- 黒 Kg6、白 Qf4
- 黒 Kg7、白 Qf5。黒のキングが動けるのは g8、h6、h8 の三つ
- 黒 Kh6、白 Qg4。黒のキングは h 筋の端に追い込まれました
- 黒 Kh7、白 Qg5
この時点で、黒のキングは h7 と h8 の2マスを行き来することしかできません。クイーンは g 筋全体と、g5 から h6 への斜めに利いているからです。
この「ナイトの位置でついていく」覚え方は、考える量が少なく、クイーンをただで取られる心配もない点で、初心者に向いていると思います。最短の手順ではありませんが、10手を少し超えても、確実なほうを私は勧めます。
3. ここでクイーンを止める
キングが端に着いたら、クイーンを追うのをやめます。ここがいちばん大事な切り替えです。
上の局面で、黒のキングが h8 にいるときに、さらに箱を小さくしようとして白のクイーンを g6 に動かすと、黒のキングは h7、g7、g8 のどこにも動けず、しかもチェックされていません。ステイルメイトで引き分けです。隅のキングに対してクイーンがナイトの位置にあるこの形は、ステイルメイトの記事 でも典型として紹介しました。ナイトの位置でついていく方法は、最後の1手だけはついていってはいけない方法でもあります。
クイーンは g5 に置いたまま動かさず、黒のキングに h7 と h8 の2マスを残します。そのあいだに、自分のキングを近づけます。
- 黒 Kh8、白 Kf2
- 黒 Kh7、白 Kf3
- 黒 Kh8、白 Kf4
- 黒 Kh7、白 Kf5
- 黒 Kh8、白 Kf6
白のキングが一歩進むたびに、黒のキングにまだ動けるマスがあるかを確かめます。この手順では、黒のキングはずっと h7 と h8 を行き来できるので、ステイルメイトにはなりません。
4. メイトする
白のキングが f6 に着きました。黒が Kh7 と指したら、白は Qg7 でメイトです。
g7 のクイーンは h7 のキングの隣でチェックしていますが、f6 の白のキングが g7 を守っているので、黒のキングはクイーンを取れません。h8 と h6 にはクイーンの斜めの利きがあり、g6 と g8 にもクイーンが利いています。逃げるマスがないので、チェックメイトです。黒のキングが h8 にいる場合も、Qg7 で同じようにメイトになります。
メイトの形は大きく二つ覚えておけば足ります。
キングが守るクイーンを隣に置く形。 上の Qg7 の形です。端にいる相手のキングのすぐ前に、自分のキングに守られたクイーンを置きます。
端の段でチェックする形。 黒のキングが e8、白のキングが e6 にいるとき、白のクイーンを8段目のどこかへ動かしてチェックすると、それだけでメイトになります。たとえばクイーンが b1 にいれば Qb8 です。8段目の d8 と f8 にはクイーンが利き、d7、e7、f7 には e6 のキングが利いています。キング同士が1マス空けて向かい合う形で、クイーンが端の段を閉じるという覚え方です。
50手ルールにも気をつける
国際チェス連盟(FIDE)の競技規則には、ポーンを動かさず駒も取らない手が双方50手ずつ続いたら、引き分けを申し出られる決まりがあります。チェックを繰り返しているだけでは、この上限に近づいていきます。上の4段階で進めれば、50手よりはるかに少ない手数で終わります。
練習のしかた
この終盤は、相手が最善を尽くしても結果が変わらないので、ひとりで練習しやすいと思います。盤に白のキングとクイーン、黒のキングを適当に置き、黒の手も自分で指して、4段階の順にメイトまで進めます。黒の手は、できるだけ盤の中央に残るように選ぶと練習になります。慣れてきたら、何手でメイトできたかを数えて、10手に近づけていきます。
盤面を自由に置けるチェスのアプリやサイトでコンピューターを相手にすると、黒が粘る手を選んでくれるので、もう少し実戦に近い練習になります。
毎日のメイト練習に
Chess365 は、2手・3手・4手・5手メイトを各1000問収録した詰チェスのアプリです。いつも白番で、ルール上指せる手ならどれでも指せて、黒は最も粘る受けを返します。この記事のクイーンの手のように、チェックでない静かな手が正解になる問題も多くあります。ステイルメイトにする手も指せますが、その手順は失敗になり、専用の説明が表示されます。
メイト問題の始め方は 詰チェスの始め方 に、駒の損得の考え方は チェスの駒の価値と交換の考え方 に、アプリの使い方は Chess365 の始め方 に書きました。
