キンダーブラウザを作った理由

私たちのプロダクトは、いつも自分たちの家庭の中にある課題から始まります。キンダーブラウザの出発点は、とてもシンプルなものでした。娘がウェブで学びたがっているのに、安心して渡せるブラウザが見つからない。だったら、自分たちで作ろう。この記事では、その背景にある考え方をお話しします。
オープンなウェブは、幼いこどものために作られていない
ウェブは人類が生み出した最良の学習リソースのひとつです。そして同時に、その圧倒的多数は、大人が大人のために設計したものです。ページは「読者はどのリンクを押すべきか判断できる」という前提で作られています。広告はコンテンツから注意を引きはがすように設計されています。リンクの先にはまたリンクがあり、幼いこどもは1、2タップで、どの親も選ばないような場所にたどり着いてしまいます。
これはウェブが悪いという話ではありません。今のウェブが、5歳のこどもを読者として想定して作られていない、というだけのことです。この前提を正面から受け止めたブラウザを探しても、納得のいくものは見つかりませんでした。ほしかったのは、大人用ブラウザに保護機能を足したものではなく、幼いこどもの知育向けウェブ利用のために設計されたブラウザです。その空白が、キンダーブラウザになりました。
なぜフィルター型ではなく、デフォルト拒否なのか
ペアレンタルコントロールの多くはフィルター型です。ウェブ全体を開いたままにして、ブロックリストが有害な部分を捕まえにいく方式です。私たちは逆を選びました。キンダーブラウザでは、保護者が許可しない限り、何も開きません。
理由は、思想であると同時に算数でもあります。フィルターは、毎日変化し続ける事実上無限のウェブについて正しく判定し続けなければならず、判定を誤ったサイトは、そのままこどもの画面に現れます。一方、許可リストが正しくあるべき対象は、保護者自身が選んだわずかなサイトだけです。有限で、把握でき、いつでも見直せる。リストをひと目見れば、こどものウェブ全体を読み取れます。
正直なトレードオフもあります。デフォルト拒否の許可リストでは、こどもが見られるウェブはずっと狭くなります。しかし、キンダーブラウザが対象とする年齢のこどもにとって、それは制約ではなく、狙いそのものです。Scratch にじっくり取り組む時間は、あてもなく1時間さまようよりも多くのことを教えてくれます。さらに外部リダイレクトもブロックされるため、許可したサイトの中にいても境界は保たれます。うっかり踏んだリンクが、リストの外へ連れて行くことはありません。
広告なしは「機能」ではなく「前提」
広告と折り合いをつけるようなこども向けプロダクトを、私たちは作りたくありませんでした。広告とは、その設計からして、注意をよそへ向けさせる装置です。集中することを学んでいる最中のこどもに、最も要らないものです。キンダーブラウザでは、サイト内の煩わしい広告はデフォルトでブロックされます。これは有料オプションでも、設定の奥に隠れたスイッチでもありません。単に、このブラウザの標準の動作です。
プライバシー第一、そしてサブスクにしなかった理由
キンダーブラウザは、こどもを追跡せず、データを収集しません。サブスクリプションのない買い切りアプリです。この選択は、インセンティブの問題でもあります。一度だけ支払われ、収益化するデータを持たないプロダクトには、こどもの利用時間を最大化する理由も、こどもについて何かを知る理由もありません。必要なのは、価格に見合う価値があることだけ。私たちはこの構造のほうが信頼しやすいと考え、「信頼してほしい」と胸を張って言えるアプリを作りました。
学びのために
そのほかの設計は、こどもが実際にウェブで学ぶ姿を見ることから生まれました。利用中は画面が自動でオフにならないので、作りかけの Scratch プロジェクトが暗転して中断されることはありません。おえかき機能が、遊び心を手の届くところに置いてくれます。設定はペアレンタルゲートの内側にあり、スクリーンタイムとも併用できるので、ご家庭にすでにあるルールへ自然に収まります。
目指したのは「安心」という体験
私たちが目指したのは、静かな安心です。保護者は信頼するサイトを許可し、iPad を渡して、別のことを考えられる。こどもは、自分を大切に思う人が引いた境界の中で、自由に探検できる。もしそれがご家庭の望む姿に近いなら、キンダーブラウザの始め方で最初の設定を、キンダーブラウザはどんなご家庭のためのアプリ?で向き不向きをご確認ください。関連記事は kinderbrowser タグにまとまっています。
この考え方に共感していただけたら、ぜひご家庭の道具箱にキンダーブラウザを加えてみてください。
