ケンブリッジ英検とは:英検との違いとレベルの対応

「ケンブリッジ英検」は日本での通称で、正式には Cambridge English Qualifications といいます。英国ケンブリッジ大学の一部門である Cambridge University Press & Assessment が実施している英語の資格試験の総称です。大人向けの主な試験は5つあり、易しい順に A2 Key(KET)、B1 Preliminary(PET)、B2 First(FCE)、C1 Advanced(CAE)、C2 Proficiency(CPE)です。日本の英検と名前が似ているので混同されやすいのですが、仕組みはかなり違います。
この記事では、ケンブリッジ英検を知ったばかりの方のために、英検との違いと、両者のレベルがどう対応するのかを、試験団体の公式資料に沿って整理します。数字はすべて2026年10月に各団体のサイトで確認したものです。
まず CEFR を知っておく
二つの試験を並べるとき、共通の物差しになるのが CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)です。欧州評議会が作った外国語の能力の枠組みで、A1、A2、B1、B2、C1、C2 の6段階で「その言語で何ができるか」を記述しています。A が基礎段階、B が自立した使い手、C が熟達した使い手です(欧州評議会の CEFR のページ)。
ケンブリッジ英検の試験名に A2 や B2 がついているのは、各試験が CEFR のひとつのレベルを狙って作られているからです。A2 Key は A2、B2 First は B2 というように、名前を見ればどのレベルの試験かが分かります(Cambridge English の試験一覧)。
合否の決まり方の違い
英検は級ごとの合否です。日本英語検定協会の説明では、各技能の正答数から技能別の「英検CSEスコア」を出し、それが級ごとに決まった合格基準スコアに達していれば合格になります。一次試験はリーディング、リスニング、ライティングの合計で判定し、二次試験はスピーキングだけで判定します。合格基準スコアは回によって変わりません。たとえば2級は一次試験が1520、二次試験が460、準1級は一次1792、二次512、1級は一次2028、二次602です(英検CSEスコアについて)。
ケンブリッジ英検は、合否というより「どのレベルに届いたか」を示す試験です。結果は Cambridge English Scale という共通のスコアで出ます。技能ごとのスコアがあり、その平均が全体のスコアになります。全体のスコアに応じてグレード A、B、C がつき、さらに一つ下のレベルの認定もあります(B2 First の結果の説明)。
B2 First を例にすると、次のようになります。
| Cambridge English Scale | 結果 | CEFR |
|---|---|---|
| 180〜190 | グレード A | C1 |
| 173〜179 | グレード B | B2 |
| 160〜172 | グレード C | B2 |
| 140〜159 | Level B1 | B1 |
つまり B2 First でとても良い成績を取ると、C1 レベルとして認定されます。届かなかった場合も、140以上なら B1 レベルの証明書がもらえます。これより低いと証明書は出ませんが、スコアは成績表に載ります。英検も成績表に CSE スコアは載りますが、資格として残るのは合格した級だけです。一回の受験で、結果に応じて上下のレベルの証明書が出るかどうか。ここが大きな違いだと私は考えています。
ほかの試験も同じ形です。A2 Key は120〜150が A2 の範囲(140以上は B1)、B1 Preliminary は140〜170、C1 Advanced は180〜210、C2 Proficiency は200〜230 が証明書の出る主な範囲で、それぞれ下に一つ下のレベルの認定がつきます。
試験の形式の違い
英検は、一次試験に合格した人だけが二次試験のスピーキングに進む二段階の形です(3級以上)。4級と5級は一次試験のリーディングとリスニングで級が決まり、スピーキングテストは別に受けられます。
ケンブリッジ英検は、4技能を同じ受験の中で測ります。B2 First の場合、Reading and Use of English が1時間15分、Writing が1時間20分、Listening が約40分、Speaking がペアで14分です。スピーキングはほかの受験者と一緒に受け、試験官は2人で、1人が話しかけ、もう1人は聞いて採点します。紙の試験とコンピューターの試験があり、形式は同じです(B2 First の試験形式)。
ペアで話す形式は、英検の面接に慣れた人には少し意外かもしれません。試験官との一問一答だけでなく、相手の受験者と話し合う課題があるので、相手の意見を受けて自分の考えを言う練習が必要になります。
有効期限の違い
Cambridge English の公式サイトは「証明書に有効期限はない」と明記しています。そのうえで、大学や企業などの受け入れ先が、何年前までの結果を認めるかを自分で決める、と書いています。受け入れ先は受験者の番号と生年月日を使って、結果をオンラインで確認できます(B2 First の結果の説明)。
英検についても、大学入試などでは受け入れる側が「何年以内の受験か」を指定することがあります。どちらの試験でも、使う予定がある場合は、提出先の募集要項を見るのが確実です。
レベルの対応
ここがいちばん知りたいところだと思います。英検協会は、英検CSEスコアから CEFR のレベルを出す範囲を公表しています。4技能の合計スコアで見ると、A1 が1400以上、A2 が1700以上、B1 が1950以上、B2 が2300以上、C1 が2600以上です。ただし、どの CEFR レベルが出るかは受けた級によって範囲が決まっていて、表から読み取ると次のようになります(英検CSEスコアについて)。
| 英検の級 | 算出される CEFR の範囲 |
|---|---|
| 1級 | B2〜C1 |
| 準1級 | B1〜B2 |
| 2級 | A2〜B1 |
| 準2級プラス | A1〜A2 |
| 準2級 | A1〜A2 |
| 3級 | A1 |
4級と5級は CEFR の算出の対象外です。英検協会はこの判定方法が、文部科学省の作業部会で示された平成30年3月版の「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」に基づくと書いています。この対照表にはケンブリッジ英検も並んでいます。
二つを CEFR でつなぐと、おおまかな目安は次のとおりです。
- 英検3級(A1)と準2級(A1〜A2)は、A2 Key の範囲です。A2 Key には A1 の認定もあります。
- 英検2級は A2〜B1 なので、B1 Preliminary の範囲と重なります。
- 英検準1級は B1〜B2 なので、B2 First の範囲と重なります。
- 英検1級は B2〜C1 なので、C1 Advanced の範囲と重なります。
- C2 にあたる英検の級はありません。C2 Proficiency は英検の上にある試験です。
「英検2級ならケンブリッジのこれ」と一対一で言い切れないのは、英検の級が CEFR の二つのレベルにまたがっているからです。英検2級にぎりぎりで合格した人と余裕を持って合格した人では、CEFR で見ると違うレベルにいる可能性があります。成績表の CEFR の欄を見て、そのレベルに合ったケンブリッジの試験を選ぶのが、いちばん素直な方法だと思います。
もうひとつの違いは、試験の生まれです。英検は日本の団体が日本で実施している試験で、ケンブリッジ英検は英国の機関が世界各地で実施している試験です。どちらが優れているということではなく、目的によって選ぶものだと考えています。
選ぶときの考え方
国内の進学で使うのか、海外の大学や仕事で使うのかで、選ぶ試験は変わります。提出先が求める試験とスコアを最初に確かめるのが、遠回りに見えていちばん近い道です。ケンブリッジ英検を選ぶなら、まず自分の CEFR レベルの見当をつけ、そのレベルの試験を一つ選び、形式に慣れる。これで準備の大半の方向が決まります。
AlphaGeorge について
私が作っている iPhone・iPad 用の AlphaGeorge は、このケンブリッジ英検の準備のためのアプリです。A1 から C2 までの6レベル、合計66ユニットのコースがあり、A2 から C2 のレベルがそれぞれ KET から CPE に対応しています。最初に約5分の診断テストを受けると、レベルに合わせたユニットから始まります。解説は英語と日本語です。
問題はすべてこのアプリのために作ったもので、Cambridge University Press & Assessment の出版物ではありません。本番の形式に慣れるには、公式の過去問や対策本も合わせて使うことをおすすめします。そのあたりの比較は「AlphaGeorge と他の対策方法の比較」に書きました。
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