CEFRと英検・TOEIC・ケンブリッジ英検の対応表の見方

CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)は、欧州評議会が作った外国語の能力の物差しで、A1 から C2 までの6段階があります。日本では、文部科学省の作業部会が平成30年3月に「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」を示したこともあって、大学入試や就職の場面で「英検2級は CEFR でいうと何か」「TOEIC 何点で B2 か」という形で使われることが増えました。
ただ、対応表の数字は、試験ごとに意味が違います。ある試験では最低点、別の試験では範囲、さらに別の試験では受けた級によって決まる上限と下限です。この記事では、英検、TOEIC、ケンブリッジ英検の三つを、それぞれの試験団体が出している資料に沿って並べ、表を読むときに気をつけたい点を書きます。数字はすべて2026年10月に確認したものです。
CEFR の6段階
欧州評議会の CEFR のページは、A を基礎段階の使い手、B を自立した使い手、C を熟達した使い手としています。全体の目安を私なりに短く言い換えると、次のようになります。
- A1: 自己紹介や、ごく身近なことについての簡単なやりとりができる
- A2: 買い物や道案内など、決まった場面の短いやりとりができる
- B1: 仕事や学校、趣味など身近な話題で、要点を理解し、自分の考えを簡単に言える
- B2: 抽象的な話題も含めて、母語話者とある程度自然にやりとりできる
- C1: 長く難しい文章を理解し、目的に応じて言葉を柔軟に使い分けられる
- C2: 聞いたり読んだりしたものをほぼすべて理解し、細かな意味の違いまで表現できる
CEFR は「何点か」ではなく「何ができるか」で書かれた枠組みです。試験の点数をこの枠に当てはめる作業は、各試験団体がそれぞれの方法で行っています。対応表を読むときの難しさは、ここから来ています。
英検: 級と CSE スコアの二段構え
日本英語検定協会は、英検CSEスコアの4技能の合計から CEFR を出す基準を公表しています。A1 が1400以上、A2 が1700以上、B1 が1950以上、B2 が2300以上、C1 が2600以上です。ただし、どの CEFR が出るかは受けた級によって範囲が決まっています。たとえば2級は A2〜B1、準1級は B1〜B2、1級は B2〜C1 です。4級と5級は算出の対象外です(英検CSEスコアについて)。
つまり「英検2級は B1」とは言い切れません。2級に合格していても、CSE スコアによっては A2 と出ることがあります。英検の場合は、級ではなく成績表に出る CEFR とスコアを見るのが正確だと思います。
TOEIC: 技能ごとの最低点
TOEIC を作っている ETS は、TOEIC の各テストの点数と CEFR を結びつけた資料を出しています。10か国から集まった22人の専門家が、各レベルに必要な最低点を技能ごとに推薦した研究にもとづくものです。Listening & Reading の最低点は次のとおりです。
| CEFR | Listening(5〜495) | Reading(5〜495) |
|---|---|---|
| A1 | 60 | 60 |
| A2 | 110 | 115 |
| B1 | 275 | 275 |
| B2 | 400 | 385 |
| C1 | 490 | 455 |
この表の読み方には三つ注意があります。ひとつめに、数字は範囲ではなく最低点です。Listening が400点なら B2 の下限に届いた、という意味です。ふたつめに、技能ごとに別々です。L&R の合計点で「何点なら B2」と言う表をよく見かけますが、ETS 自身は L と R を分けて見ることを勧めています。合計が同じでも、Listening は C1、Reading は B1 ということがありえます。三つめに、C2 の欄がありません。国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)の説明でも、TOEIC が測れるのはおおよそ A1〜C1 です。ETS はこの数字を「目安」とし、厳格な合格線として使うことは勧めないと書いています。
また、TOEIC Listening & Reading は話す力と書く力を測りません。それは別の試験である TOEIC Speaking & Writing の役割で、同じ資料に別の最低点が載っています。L&R の点数だけで「B2 の英語力がある」と言うときは、聞く力と読む力についての話だということを覚えておくとよいと思います。
ケンブリッジ英検: レベルを狙う試験
ケンブリッジ英検は、試験そのものが CEFR のレベルを狙って作られています。A2 Key は A2、B1 Preliminary は B1、B2 First は B2、C1 Advanced は C1、C2 Proficiency は C2 です(Cambridge English の試験一覧)。結果は Cambridge English Scale のスコアで出て、B2 First なら160〜179が B2、180以上は C1、140〜159は B1 の認定になります(B2 First の結果の説明)。4技能のスコアが別々に出て、その平均が全体のスコアです。
英検とも TOEIC とも違い、ここでは試験名がそのまま CEFR の目標を表しています。英検との違いはケンブリッジ英検とはで詳しく書きました。
三つを並べると
ここまでの公式資料を一つの表にすると、次のようになります。それぞれの欄の意味が違うことに注意してください。
| CEFR | 英検 CSE(4技能合計の下限) | TOEIC L / R(最低点) | ケンブリッジ英検(狙う試験) |
|---|---|---|---|
| A1 | 1400 | 60 / 60 | A2 Key の A1 認定 |
| A2 | 1700 | 110 / 115 | A2 Key |
| B1 | 1950 | 275 / 275 | B1 Preliminary |
| B2 | 2300 | 400 / 385 | B2 First |
| C1 | 2600 | 490 / 455 | C1 Advanced |
| C2 | 算出なし | 対象外 | C2 Proficiency |
英検の欄は、受けた級によって出る範囲が限られるので、1級の受験者でなければ C1 は出ません。TOEIC の欄は L と R が別々の最低点で、合計点ではありません。ケンブリッジ英検の欄は点数ではなく試験の名前です。三つの列は同じ行に並んでいても、同じ種類の数字ではありません。
対応表を読むときの考え方
私が大事だと思うのは、次の三点です。
まず、出典を見ることです。対応表の多くは、試験団体の資料をもとに、学校や予備校、出版社が作り直したものです。誰がいつ作った表か、もとの資料は何かを確かめれば、数字の意味も分かります。
次に、試験の目的と技能の違いを忘れないことです。TOEIC は日常生活と国際的な職場の場面の英語を測る試験で、L&R は聞く力と読む力だけです。英検とケンブリッジ英検は4技能を測ります。同じ B2 でも、試験が違えば中身は同じではありません。
最後に、使う先の要件を優先することです。大学や企業が「英検準1級以上」や「TOEIC 何点以上」と指定しているなら、CEFR に置き換える必要はありません。CEFR は、試験を乗り換えるときや、自分の現在地を知りたいときの共通語として使うのがよいと考えています。
AlphaGeorge について
私が作っている iPhone・iPad 用の AlphaGeorge は、ケンブリッジ英検の準備のためのアプリです。コースは CEFR の A1 から C2 までの6レベル、合計66ユニットで、A2 から C2 のレベルがそれぞれ KET から CPE に対応しています。最初の約5分の診断テストで、どのレベルから始めるかを決めます。各レベルの中間テストと総合テストのレポートには、推定レベルと CEFR ごとの到達度が出ます。ただしこれはアプリの中の目安で、公式の資格や CEFR の認定ではありません。
問題はすべてこのアプリのために作ったもので、Cambridge University Press & Assessment の出版物ではありません。無料で始められ、広告とハートの制限があります。AlphaGeorge Premium(2026年10月時点の日本の App Store で月額1,200円、年額6,000円)に入ると、広告がなくなり、ハートが無制限になり、終えたレッスンをやり直せます。ほかの対策方法との比較は「AlphaGeorge と他の対策方法の比較」に、最初の一回の流れは「AlphaGeorge の始め方」に書きました。
