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分かち書きのない日本語の読み方:語の切れ目を見つけるコツ

Hiroki ObaraHiroki Obara · DeveloperNiho使い方
分かち書きのない日本語の読み方:語の切れ目を見つけるコツ

日本語の文は、語と語の間を空けずに書きます。英語なら空白が教えてくれる語の切れ目を、日本語では読む人が自分で見つけることになります。日本のこどもも、はじめからそれができるわけではありません。文部科学省の小学校学習指導要領解説 国語編(平成29年)は、文章を目で追いながら読むことが難しい児童への配慮として、「語のまとまりや区切りが分かるように分かち書きされたもの」を用意することを挙げています。

この記事は、本来は日本語を学んでいる方に向けて英語と中国語で書いたものを、日本語でも読めるようにしたものです。日本語を教えている方の参考にもなればと思います。

語の切れ目が分からないと、知らない語を辞書で引くこともできません。この記事では、切れ目を見つけるための手がかりを四つ挙げ、そのあとで、手がかりが効きにくいところを見ていきます。

手がかり1:漢字から仮名に変わるところ

いちばん頼りになるのは、文字の種類が変わるところです。漢字の連なりは、たいてい語の中心になる部分です。その後ろに続くひらがなは、送り仮名か、助詞や助動詞です。

「先生は本を読んだ。」なら、漢字の「先生」「本」「読」が目に入ります。「先生」の後ろの「は」、「本」の後ろの「を」は助詞です。

ただし、漢字から仮名に変わるところが、いつも語の切れ目とは限りません。「読んだ」の「んだ」は「読む」の活用の一部で、「読」と切り離せません。私は、漢字と仮名の境目を「ここで切る」線ではなく、「このあたりで語が終わる」目印として見るのがよいと考えています。漢字の後ろの仮名を一つずつ見て、助詞が出てきたところで語が終わる、という見方です。

手がかり2:助詞

よく使われる助詞は、数がそれほど多くありません。「は」「が」「を」「に」「で」「と」「も」「へ」「の」「から」「まで」「より」あたりを覚えておくと、文がずいぶん区切りやすくなります。

助詞の多くは、名詞の後ろにつきます。「駅の前で友だちと会った」なら、「の」「で」「と」の前に、それぞれ「駅」「前」「友だち」があります。

困るのは、助詞と同じ字が語の中にも出てくることです。「はなし」の「は」、「ところ」の「と」は助詞ではありません。よく知られた例に「ここではきものをぬいでください」という文があります。「ここで、はきものを」と読めば「履物」、「ここでは、きものを」と読めば「着物」です。仮名ばかりの文では、文の意味から判断するしかないことがあります。

手がかり3:カタカナのまとまり

カタカナが続くところは、多くの場合、外来語の一語です。「コーヒー」「テレビ」のように、カタカナが始まって終わるところが、そのまま語の切れ目になります。

ただし、「ジュースサーバー」のように外来語が二つ並ぶと、カタカナの中に切れ目があります。名前を書いた文章では、「ジョン・スミス」のように中黒「・」で区切ることもあります。

手がかり4:句読点とかぎかっこ

句点「。」と読点「、」は、少なくとも語の途中には入りません。かぎかっこ「」の中は会話や引用なので、その前後でも語は切れます。当たり前のようですが、長い文で迷ったときは、まず読点で区切られた一つ分だけを見ると、考える範囲が狭くなります。

文節という区切り方

日本の学校では、文を「文節」に区切る練習をします。文節は、意味が分かる範囲でいちばん短く区切ったまとまりで、間に「ね」を入れて自然に読めるところが切れ目だ、と教わります。

「先生ね、本をね、読んだ」と言えるので、「先生は本を読んだ」は「先生は/本を/読んだ」の三つの文節です。文節は、たいてい漢字などの中心の部分と、その後ろの仮名でできています。手がかり1と2で見た「漢字のあとの仮名で語が終わる」という見方は、この文節の形と重なっています。

語の切れ目と文節の切れ目は同じではありませんが、学習者が辞書で引くときには、文節の頭から引けば、目当ての語はたいてい見つかります。

区切りにくいところ

手がかりが効きにくいところもあります。

漢字の複合語。「日本語教育」「大学病院」のように漢字が長く続くと、どこで切るかは字の種類からは分かりません。知っている語を手がかりに、前から切っていくことになります。辞書に一語として載っている複合語もあります。

**仮名の多い文章。**昔話や児童書は、漢字が少なく、ひらがなが長く続きます。「むかしむかしあるところに」は、知っていれば「むかしむかし/ある/ところに」と読めますが、手がかり1は使えません。やさしい文章なのに区切りにくい、ということが起こります。

長い活用。「食べさせられなかった」は一つの文節ですが、「食べる」に使役、受身、否定、過去が重なっています。語の切れ目は分かっても、辞書形にたどり着くのが難しい形です。

補助的な言葉。「読んでいる」「行くことができる」の「いる」や「こと」は、語としては独立していますが、意味は前の語とまとめてつかむほうが自然です。

旧仮名遣いの文章では、「いふ」「ゐる」のように、今とは違う仮名で書かれた語もあります。これについては旧仮名遣いの読み方に書きました。

辞書で引くときの選び方

ここまでの手がかりは、辞書で引く前に「どこからが一語か」を決めるためのものです。私は、学習者にとって大事なのは語の終わりより、語の始まりだと考えています。始まりが合っていれば、終わりが少し長くても、辞書のほうで調べがつくことが多いからです。

逆に、始まりがずれると、まったく違う語にたどり着きます。上の「ここではきものを」で「は」から引けば「履物」、「き」から引けば「着物」です。引いた語の意味が文に合わないときは、まず始まりの位置を疑ってみてください。

Niho で語を引く

私は、青空文庫の作品を辞書つきで読める iPhone・iPad 用の無料の読書アプリ Niho を作っています。

Niho では、本文を長押しして選び、「辞書で引く」を押します。Niho は、選んだ範囲の先頭から始まる文字列を順に辞書に当て、辞書にある最も長い語を最初に出し、短い候補をその後ろに並べます。「先生一人」を選べば、最初に「先生」が出て、次に「先」が出ます。ですから、選ぶときは語の頭から始めて、語の終わりより少し長めにするのがこつです。範囲が語より短いと、短い語しか見つかりません。

「ここではきものを」の「は」から選んだ場合は、長い語が先に出るので、最初に出るのは「履物」です。文の意味に合わなければ、選択の始めを一字うしろにずらします。

活用した語は辞書形に戻して引きます。「食べました」なら「食べる」と、どの活用をたどったかも表示します。「勉強した」のようなサ変動詞は、名詞の「勉強」に戻ります。旧仮名遣いの活用には対応していません。辞書に見つからない固有名詞やまれな語は、選択メニューの「Jisho」から、ウェブの辞書で調べられます。

選択の範囲に神経を使いすぎない読み方はNiho で日本語の本を読むための、毎日のヒントに、最初の一冊までの手順はNiho の始め方に書きました。

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