英語多読におすすめの無料洋書30冊(Project Gutenberg)

Project Gutenberg には英語の本が61,000冊以上あり、すべて無料で読めます。ありがたいことですが、そこが難しいところでもあります。目録を開くと、シェイクスピアの隣に19世紀の説教集が並んでいて、学習者にはどれなら最後まで読めるのか見当がつきません。
ABC George を一冊まるごと読むアプリとして作り直したとき、最初に作った棚が「Start here」でした。短く、平易に書かれていて、広く読まれている本を30冊選んでいます。この記事はその棚の一覧に、一冊ずつ短い説明をつけたものです。題名のリンクは Project Gutenberg の各作品のページで、ブラウザでそのまま読むことも、EPUB や Kindle 形式、テキストでダウンロードすることもできます。
一覧の前に、いくつか正直にお断りしておきます。語数は私が数えたものです。Gutenberg の各作品のテキスト版から、冒頭と末尾の Gutenberg の案内やライセンス文を除いて数え、丸めてあります。本に含まれる序文や注は数に入っています。難しさについての説明は私の印象で、読みやすさの指標は使っていません。どれも古い本なので、意味の変わった単語もありますし、当時の価値観がそのまま出ている本もあります。また、これらは米国でパブリックドメインになっている作品で、Gutenberg はそれを基準にしています。米国以外にお住まいの方は、ご自分の国の扱いを確認するよう、サイトに書かれています。
寓話とおとぎ話
いちばん短い作品群です。ほとんどの話は数分で読めるので、一話でやめても「読み終えた」という感覚が残ります。
- イソップ寓話集(Aesop’s Fables)、イソップ。とても短い寓話が数百編、それぞれ最後に教訓がつきます。文は単純ですし、知っている話が多いことが、思っている以上に助けになります。約40,000語。
- The Aesop for Children、イソップ、Milo Winter 絵。同じ寓話をこども向けに書き直したもので、英語はさらに平易です。1冊目が重く感じたら、こちらから始めてください。約27,000語。
- グリム童話集(Grimms’ Fairy Tales)、グリム兄弟。「ヘンゼルとグレーテル」「ラプンツェル」「ルンペルシュティルツヒェン」など。少し古い英訳です。一話ずつは短いものの、イソップよりはやや硬い英語です。約100,000語。
- アンデルセン童話集(Andersen’s Fairy Tales)、アンデルセン。「裸の王様」「マッチ売りの少女」など。1ページで終わる話もあれば、「雪の女王」のように何章も続く話もあります。約56,000語。
- English Fairy Tales、Joseph Jacobs。「ジャックと豆の木」「三匹の子ぶた」などイギリスの昔話集です。いくつかの話は方言で書かれていて、辞書に載っていない綴りが出てきます。そういう話は気にせず飛ばして構いません。約62,000語。
- The Blue Fairy Book、Andrew Lang。「シンデレラ」「美女と野獣」「アラジン」など、世界各地のおとぎ話を集めた本です。分厚いですが、どの話も独立しています。約140,000語。
- ピーターラビットのおはなし(The Tale of Peter Rabbit)、ビアトリクス・ポター。10分で読める絵本です。この一覧でいちばんやさしい本で、まず読み方を試すのにちょうどいいと思います。約1,000語。
- 幸福な王子(The Happy Prince, and Other Tales)、オスカー・ワイルド。「わがままな大男」を含む5編の童話です。英語は美しく、難しくはありません。話は思ったより悲しいです。約17,000語。
- なぜなに物語(Just So Stories)、キプリング。「ヒョウの斑点はどうしてできたか」など、動物の由来を語るほら話です。声に出して読むように書かれていて、繰り返しや造語が多く、見た目よりは難しい本です。約31,000語。
- ジャングル・ブック、キプリング。モーグリの話に加えて、「リッキ・ティッキ・タヴィ」などが入っています。動物たちが thou や thee を使う古い話し方をするので、慣れるまで一章ほどかかります。約52,000語。
短めの長編
ここからは章のある、ちゃんとした物語になります。多くは25,000語から75,000語のあいだです。シャーロック・ホームズはもっと長いのですが、12の独立した短編です。
- 不思議の国のアリス(Alice’s Adventures in Wonderland)、ルイス・キャロル。短くて有名な本です。筋は追いやすいのですが、笑いの多くが言葉遊びなので、単語を全部調べても意味が取れない行があります。それで普通です。約27,000語。
- 鏡の国のアリス(Through the Looking-Glass)、ルイス・キャロル。続編で、チェスの対局が話の骨組みになっています。長さは同じくらいで、言葉遊びはさらに増えます。約31,000語。
- オズの魔法使い(The Wonderful Wizard of Oz)、ライマン・フランク・ボーム。平易でまっすぐなアメリカ英語で、筋もはっきりしています。この一覧から最初の長編を一冊だけ選ぶなら、私はこれを勧めます。約40,000語。
- クリスマス・キャロル(A Christmas Carol)、ディケンズ。5章の短い本です。ディケンズの文は長いのですが、話の力で読み進められますし、結末はたぶんご存じだと思います。約29,000語。
- シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)、コナン・ドイル。12編の短編で、一編ごとに事件が完結します。一晩に一編がちょうどいい長さです。約105,000語。
- 宝島(Treasure Island)、スティーヴンソン。海賊の冒険物語で、船の用語と海賊の話し言葉がたくさん出てきます。船の単語を一度調べてしまえば、あとはすいすい進みます。約70,000語。
- トム・ソーヤーの冒険(The Adventures of Tom Sawyer)、マーク・トウェイン。地の文はやさしいのですが、会話はミズーリの小さな町の話し言葉で書かれていて、そこが難しいところです。声に出して読むと分かりやすくなります。約74,000語。
長めの児童文学
少し時間はかかりますが、若い読者のために書かれた本なので、文はそれほど長くなりません。一章ごとに区切りのある本が多く、数日あいだを空けても戻ってきやすいと思います。
- 黒馬物語(Black Beauty)、アンナ・シューウェル。一頭の馬の一生を、馬自身が語ります。平易な一人称の英語で、章も短めです。約60,000語。
- 赤毛のアン(Anne of Green Gables)、モンゴメリ。アンはとにかくよくしゃべり、長い単語が大好きなので、いつもより辞書を引く回数は増えます。この一覧でいちばん温かい本のひとつでもあります。約107,000語。
- 秘密の花園(The Secret Garden)、バーネット。地の文は平易です。何人かの登場人物はヨークシャーの方言で話し、発音どおりに綴られています。約83,000語。
- 小公女(A Little Princess)、バーネット。分かりやすい英語、単純な筋、短い章。安心して読める本です。約67,000語。
- たのしい川べ(The Wind in the Willows)、ケネス・グレーアム。児童文学の古典ですが、描写の語彙がとても豊かです。評判よりは難しい本だと私は思います。約61,000語。
- ピーター・パン(Peter Pan)、J・M・バリー。戯曲ではなく小説版です。語り手が読者に向けて皮肉まじりのひと言をはさむことが多く、そこが読みにくいところです。約48,000語。
- 砂の妖精(Five Children and It)、E・ネズビット。5人のきょうだいが、1日にひとつ願いをかなえてくれる生き物に出会います。一章がひとつの願いなので、少しずつ読むのに向いています。約54,000語。
- 鉄道きょうだい(The Railway Children)、E・ネズビット。平易でやわらかな英語で、一章ごとに小さな出来事がひとつ描かれます。約60,000語。
- ドリトル先生アフリカゆき(The Story of Doctor Dolittle)、ヒュー・ロフティング。英語は簡単で、本も短めです。ただしこれは1920年の原文で、後の版で削られた人種差別的な箇所がそのまま残っています。読み始める前に知っておいたほうがいいと思います。約28,000語。
- ハイジ(Heidi)、ヨハンナ・シュピリ。スイスの小説の英訳です。言葉は平易で、筋はたいていの人がなんとなく知っています。約92,000語。
- 若草物語(Little Women)、オルコット。長い小説で、この版には第二部まで含めた全47章が入っています。英語は難しくありません。家族の物語が好きな方には、長さに見合う一冊です。約190,000語。
古い古典を2冊
この2冊は1700年代の初めに書かれました。文が長く、古い綴りや単語も出てきます。そのため最後に置いています。
- ロビンソン・クルーソー(Robinson Crusoe)、デフォー。段落が長く、島で生き延びるための実務的な描写が延々と続きます。最初はゆっくりですが、そのうち妙に引き込まれます。約120,000語。
- ガリヴァー旅行記(Gulliver’s Travels)、スウィフト。4つの航海記で、最初の小人国の話だけでも一冊分の読みごたえがあります。風刺なので、スウィフトが何を笑っているのかを知っていると、ずっと面白く読めます。約105,000語。
私ならこう読みます
筋を知っている本を選ぶのがいちばんだと思います。映画でも、日本語の絵本でも構いません。話を知っていれば、そのぶん英語に注意を向けられます。
単語は全部調べなくて大丈夫です。二度三度と出てきた単語や、話の流れを見失ったときだけ調べる。残りは前後から推測します。この推測こそ、多読で力がつくところだと私は考えています。
楽しくなくなったら、やめて別の本に移ります。10ページで閉じた本も、ここでは何も失いません。無料ですから。
辞書を引きながら読むなら
この30冊は、私が作っている iPhone・iPad 用の無料の英語多読アプリ ABC George の「Start here」の棚にすべて入っています。本を一度ダウンロードすれば、あとはオフラインで読めます。単語を長押しするとページの上に意味が出て、その単語は出会った文ごと単語帳に保存され、数日後に短いクイズでもう一度出てきます。広告もアカウント登録もありません。
Gutenberg のサイトや Kindle で読むほうが好きな方は、上のリンクからそのまま読めます。どの方法で読むにしても、大事なのは一冊を読み終えることだと思います。
