ひらがなの書き順で間違えやすい字

ひらがなの清音は46字です。小学校学習指導要領では1・2年生の内容に平仮名と片仮名を読み書きすることが入っていて、書写では「点画の書き方や文字の形に注意しながら,筆順に従って丁寧に書くこと」が挙げられています(小学校学習指導要領(平成29年告示))。
ところが、ひらがなは家で先に覚えてしまうことが多い文字でもあります。入学前に、絵本や看板を見ながら自己流で書けるようになり、書き順はあとから知る、という順番になりがちです。形は合っているのに書き順だけ違う、ということが起きやすいのはそのためだと思います。
この記事では、書き順を間違えやすいひらがなを、正しい順番と、なぜ間違えやすいのかとあわせて整理します。書き順は、学校の教科書で教えている順番を基準にしています。一画ずつの図は、このサイトのひらがなの書き順のページで全46字を確かめられます。
書き順を間違えやすい字
せ
せは3画です。1画目は長い横線、2画目は右側の短い縦線、3画目が左側の長い縦線で、下で右へ曲がります。
間違えやすいのは2画目と3画目の順番です。左から右へ書く習慣があるので、左の縦線を先に書きたくなります。右の短い線を先に書くと、左の長い線がどこで曲がり、どこまで伸びるかを右の線との釣り合いで決められるので、形が整いやすくなります。
も
もは3画で、1画目は上から下へ曲がる縦の線です。2本の横線はそのあとに書きます。
漢字では横線から書く字が多いので、横線2本を先に書いてしまうことがよくあります。縦の線を先に書くと、横線をその線に交わる位置で引くことになり、横線の長さがそろいやすくなります。
や
やは3画です。1画目は左から右上へ回りこむ曲線、2画目は上の短い点、3画目が左上から下へ伸びる長い線です。
長い線をいちばん目立つ線と感じて先に書いてしまう間違いが多い字です。曲線、点、長い線の順に書くと、長い線が曲線を貫く位置を最後に調整できます。
よ・ゆ
よは2画で、1画目は右上の短い横線、2画目は縦線を下ろして結ぶ線です。ゆも2画で、1画目は左側のふくらんだ曲線、2画目は真ん中を上から下へ通る線です。
どちらも、真ん中を通る長い線を先に書いてしまう間違いがよく見られます。どちらの字も、短い線や外側の曲線で場所を決めてから、長い線を通す順番です。
ふ
ふは4画です。上の点、真ん中の曲がった線、左の点、右の点の順に書きます。
点が多く、続けて書くと2画や3画に見えるため、画数そのものがあいまいになりやすい字です。特に左右の点の順番が逆になりがちです。上から、そして左から右へ、と覚えるとよいと思います。
を
をは3画です。1画目は横線、2画目は上から左下へ下ろして右へ折り返す線、3画目が右から大きく回る曲線です。
使う機会が少なく、「お」と形を混ぜて覚えてしまうことがあります。2画目が一筆で折れることを押さえると、全体の形がつかみやすくなります。
か・な・た
かは3画で、1画目が横から下へ折れる線、2画目が左側の斜めの線、3画目が右の点です。左の斜めの線を先に書くと、折れる線との間隔が取りにくくなります。
なは4画で、横線、斜めの線、右上の点、下の結びの順です。点を最後に書いてしまう間違いがよくあります。
たは4画で、横線、斜めの縦線、右上の短い横線、右下の横線の順です。縦線を横線より先に書いてしまうことがあります。
は・ほ・け
は、ほ、けは、どれも左の縦線が1画目です。そのあとに右側を書きます。右側を先に書いてから左の縦線を足すと、左右の間があきすぎたり、詰まりすぎたりしやすくなります。
間違えた書き順は、どこまで直すか
書き順にこだわりすぎることへの疑問もよく耳にします。漢字の筆順については、文部省が1958年にまとめた「筆順指導の手びき」があり、学校の筆順のもとになっています。ただ、その手びき自身が、示した以外の筆順を誤りとするものではないと断っています。字の形には書き方の習慣による幅がある、というのが国語施策の基本的な考え方だと思います。
それでも私は、ひらがなの書き順は早めに整えておく価値があると考えています。理由は二つあります。ひとつは、上で見たように、正しい書き順は形を整えるための順番になっていることです。もうひとつは、ひらがなの書き順の感覚が、のちに漢字を書くときの土台になることです。
直し方については、私は次のように考えています。
- 形が崩れる字から直す。 せ・や・ふのように、順番が違うと形が崩れやすい字を優先します。
- 一度に全部を直さない。 一日に一字か二字にしぼり、その字を書くときだけ声をかけます。
- 書いている最中に止めない。 書き終わってから、お手本と一緒にもう一度書いてもらうほうが、こどもも受け入れやすいと思います。
小さいうちは、まず字を書くことを楽しんでいることのほうが大事です。書き順を直すことで書くのが嫌いになってしまっては、元も子もありません。
一画ずつ確かめる
書き順を確かめるには、完成した字ではなく、一画ずつ増えていく図を見るのがいちばんです。このサイトのひらがなの書き順とカタカナの書き順のページでは、全文字を一画ずつの番号つきの図で載せています。上の字の名前のリンクからも、それぞれの字のページへ移れます。
図を見て分かったつもりでも、実際に書くと順番が戻ってしまうことがあります。そういうときは、お手本が一画ずつ動くのを見てから、その上をなぞるのが効果的だと思います。
かきカタは、書き順を練習できる iPhone・iPad 向けのアプリです。字を選ぶと、お手本の線が書き順どおりに一画ずつ伸びていきます。指やペンで1画書いて離すと、次の画のお手本が出ます。最後まで書くとお手本は消え、自分の字だけが残ります。なぞった線を採点したり、正誤を判定したりはしないので、こどもが自分のペースで何度でも書けます。
収録しているのは、ひらがなとカタカナの清音・濁音・半濁音の142字です。拗音(きゃ など)や小さい「っ」は入っていません。お手本の字の大きさは大・中・小の3段階で変えられ、十字の補助線を出すこともできます。スピーカーのボタンを押すと、その字の読みが流れます。1,500円の買い切りで、広告やアプリ内課金はありません。iPhone では横向きで使います。
使い方はかきカタの始め方で、毎日の練習のアイデアはかきカタ活用のヒントでご紹介しています。
