日本語学習者のためのひらがなの書き方:形の取り方と練習の順番

2015年、国際交流基金関西国際センターは、無料のアプリ「Hiragana Memory Hint」を公開しました。ひらがな一字ずつを、形と音を連想させる絵で覚えるアプリで、クイズや、タップすると音が鳴る表もあります。読めるようになるための道具で、書く練習は入っていません。
読めることと、手で書けることは、別の力だと私は考えています。この記事は、日本語を学ぶ方にひらがなの書き方を教える先生や、地域の日本語教室で学習者を支えている方に向けて書きました。学習者向けの詳しい版は、英語版と中国語版にあります。
読むのが先、書くのはすぐあと
私は、読むことを先にして、書くことはすぐあとに続けるのがよいと考えています。読むほうが早く身につきます。ただ、46字全部を読めるようになるまで書くのを待つと、形があいまいなまま残ります。書くと、画の数や、線がどこから始まりどこでつながるかに目が向きます。1行読めるようになったら、1日か2日のうちに同じ行を書く。そのくらいの間隔がよいと思います。
学習者がつまずきやすいところ
日本のこどもとは、つまずく場所が少し違うと思います。
- 一筆で続けて書く。 アルファベットに慣れた手は、分かれている画をつなげがちです。「あ」「お」は3画、「ふ」は4画。新しい字では、まず画の数を確かめてもらいます。
- とめ・はね・はらい。 学習者には、この区別そのものが新しいことが多いです。言葉で説明して、「い」の1画目のはね、「こ」の1画目の終わりなど、実例を見せると伝わりやすいと思います。
- 下の線にそろえて書く。 アルファベットは線の上に立つ文字です。日本語は一字ずつ同じ大きさのマスに入ります。マスのある紙を使うだけで、字の大きさがそろいやすくなります。
- 角ばった形。 ひらがなは漢字の草書から生まれ、やわらかい曲線が多い字です。活字のアルファベットや楷書に慣れた手は、曲線を角にしがちです。漢字圏の学習者には、「あ」は「安」から、「い」は「以」から、と字源を見せると納得してもらえることがあります。
- 活字と手書きの違い。 「き」「さ」がつながって見える書体があります。教科書体と活字で形が違うひらがなに書きました。
形の取り方
お手本の字のマスを、十字で四つに区切って見てもらうのがよいと思います。それぞれの線が十字のどこから始まり、どこで終わり、どこで中心の線を横切るか。線と線の間の空き具合も見ます。そのうえで同じ大きさのマスに書き、お手本と並べて比べます。一度に直すのは一つか二つで十分です。
練習の順番と1日の量
読む練習は、五十音表の行ごとに進めるのが分かりやすいと思います。書く練習は、「い」「こ」「し」「つ」「く」のように画が少なく単純な字から始め、結びや交差のある「あ」「ぬ」「ね」はあとに回すと楽です。線の形で分けた順番はひらがなを教える順番にまとめています。
大人の学習者なら、1日に新しい字を5字、五十音表の1行分くらいが続けやすいと私は考えています。その日の字を何度か書き、前の日までの字を1回ずつ書きます。復習だけの日をはさんでも、2週間ほどで46字に届きます。週に1回まとめて1時間より、毎日10分のほうが手に残ると思います。
書くときは、音を声に出してもらいます。形と音が結びつき、読む練習にもなります。
かきカタを、教室の外の練習に
かきカタは、ひらがなとカタカナの形と書き順を練習できる iPhone・iPad 向けのアプリです。画面にはほとんど文字がなく、アイコンと仮名だけなので、学習者の母語を問わず使えます。
字を選ぶと、お手本の線が書き順どおりに一画ずつ伸びます。1画書いて指やペンを離すと、次の画のお手本が出ます。スピーカーのボタンを押すと、その字の読みが流れます。押したときだけ鳴るので、書く前に聞いて、一緒に声に出す使い方ができます。十字の補助線を出せば、上に書いた「四つに区切って見る」を画面の上でそのまま確かめられます。お手本の字は大・中・小の3段階で変えられます。採点や正誤の判定はないので、お手本と自分の線を自分で見比べてもらいます。
収録しているのは、ひらがなとカタカナの清音・濁音・半濁音の142字です。小さい「っ」「ゃ」などの小書きの仮名、拗音、のばす音の「ー」は入っていません。ただ、小さい字は大きい字と同じ形なので、「つ」「や」「ゆ」「よ」が書ければ、小さい字も書けます。マスの中の位置は小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」を書く位置に書きました。
1,500円の買い切りで、広告やアプリ内課金はありません。iPhone では横向きで使います。最初の使い方はかきカタの始め方に書いています。
