TidyTimer をつくった理由:片付けを軽やかにするために

私たちのプロダクトづくりは、いつも日常のささやかな気づきから始まります。TidyTimer(タイディタイマー)の場合、その気づきはこうでした。片付けは、実際の作業よりもずっと重たく感じられる、ということです。作業そのものは単純です。物を拾って、しまって、拭く。重いのは作業の周りにあるもの、つまり範囲の曖昧さ、ゴールの見えなさ、「始めたら一晩中かかるかもしれない」という予感のほうです。この記事では、なぜタイマーがその重さへの答えになると考えたのか、そしてなぜ TidyTimer を今の形につくったのかをお話しします。
問題は作業ではなく、捉え方にある
「部屋を片付ける」というのは、不思議と気の重くなる言葉です。大きさが決まっていないからです。10分で終わるのか2時間かかるのか、始める前には分かりません。だから多くの人が選ぶ安全策は、「後回しにする」ことになります。
これを「15分だけ片付ける」と言い換えてみてください。とたんに、タスクに輪郭が生まれます。何を引き受けるのかが分かり、いつ終わるのかが分かり、始めるコストに上限があると分かる。部屋は何も変わっていないのに、捉え方だけが変わりました。この捉え直しこそが、TidyTimer の発想のすべてです。時間を区切るというシンプルな方法が、重たく感じる家事を軽くしてくれるのです。
タイマーはゴールをくれる
TidyTimer をセットしたとき、あなたは「部屋を完璧にする」と約束しているわけではありません。「鳴るまでやる」と約束しているだけです。終わったところまでが成果です。この「区切りが最初から決まっている」ことには、見た目以上の意味があります。片付けが、いつ終わるとも知れない義務から、始まりと終わりのはっきりしたセッションに変わるからです。始めやすく、やり切ったときに気持ちがいいのは、後者のほうです。
タスクリストは、同じ考えをもう一方の側から支えます。再生ボタンを押す前にやりたいことを並べておけば、すべてのセッションに具体的なゴールが生まれ、使った時間が「これを終わらせた」と指させる形で残ります。
デザインを徹底してシンプルにした理由
TidyTimer の目的が「画面から離れて、部屋に向かってもらうこと」なのだとしたら、アプリ自身が気を散らす存在になっては本末転倒です。この原則が、ほとんどすべてのデザイン判断を決めました。
カウントダウンは、部屋の反対側からでも一目で読める大きな表示に。操作は再生・一時停止・リスタートだけにして、セッションの途中でいじりたくなるものを置かない。プリセットは5分から90分までワンタップで選べるようにして、「何分やるか決めること」自体が小さな仕事にならないように。そしてサウンド・バイブレーション・通知のお知らせは、端末を完全に手放せるようにするためにあります。セッションが終われば、タイマーのほうから教えてくれるからです。
私たちはこれを、文字どおりの意味での「気が散らないデザイン」だと考えています。すべての要素は、セッションを始める助けになるか、終える助けになるか、そのどちらかです。どちらでもないものは、入れませんでした。
無料で、ブラウザで使える理由
TidyTimer の届け方にも、同じ論理を通しました。スマホでもタブレットでもパソコンでも、ブラウザで開くだけ。無料で、インストールもアカウント登録も不要です。「片付けようかな」という気持ちは壊れやすいもので、その瞬間にダウンロードや登録を求められたら、気持ちのほうが先に消えてしまいます。ウェブページを開くことは、私たちが知るかぎり、いちばん小さなお願いです。
さいごに
TidyTimer は、「部屋を片付けたいけれど、いつも次の週末に先送りしてしまう自分」のためにつくりました。心当たりがある方は、始め方ガイドや活用のヒント、TidyTimer はどんな人のためのタイマー?もあわせてどうぞ。関連記事は tidytimer タグにまとまっています。
読むより先に、アイデアそのものを試していただくのもおすすめです。プリセットを選んで、再生ボタンを押す。「鳴るまで片付ける」が「部屋を片付ける」とどれほど違うか、実感してもらえると思います。