Niho の始め方:日本語の本を、はじめて一冊読むまで

日本語の読書アプリをはじめて開くと、夏目漱石を検索して『こころ』をダウンロードしたくなるかもしれません。『こころ』はすばらしい本ですが、最初の一冊には向いていません。この記事では、Nihoで過ごす最初の夜を、私ならこうするという順番でご紹介します。短い本を選び、ダウンロードし、読み方を決め、語を引き、クイズで再会するまでです。
Niho とは?
Nihoは、iPhone と iPad 向けの無料の日本語読書アプリです。日本語を学んでいる人のために作りました。日本で著作権の切れた17,000作品以上を収める青空文庫の目録をアプリに内蔵していて、読みたい本をダウンロードすれば、それ以降は本文も辞書も単語帳もクイズも通信なしで使えます。広告もアプリ内課金もなく、アカウント登録も必要ありません。
表示言語は端末の言語に合わせて16言語から選ばれ、設定の「表示言語」で変えられます。この記事では日本語表示のときの名前で書きます。
ステップ1:「探す」を開き、いちばん上の棚から
「探す」タブには、児童書、昔話、小説、ミステリー、SF・ファンタジー、随筆、詩歌、翻訳作品の棚があります。その上に、アプリ独自の棚がふたつあります。「よく読まれている」は青空文庫自身のアクセスランキングから。「はじめの一冊」は、短く平易な名作30編を、おおよその難易度順に並べたものです。
「はじめの一冊」の最初の一冊か、その近くから選んでください。どれも一晩か二晩で読み終えられる長さです。最初の1週間は、読み終えることが何より大切だと私は考えています。読み切った短編は「自分にもできる」と教えてくれますが、途中でやめた長編は、その逆を教えてしまいます。
題名や作者名での検索もできます。漢字・仮名・ローマ字のどれでも引けて、目録ごと端末に入っているので電波はいりません。
ステップ2:本をダウンロードする
本を選ぶと詳細画面が出ます。作者、長さ、青空文庫で年に何回読まれているか、そして表記が現代仮名遣いかどうか。旧仮名遣いの版には「新字旧仮名」などの表示がつき、ジャンルの棚からは外してあります。歴史的仮名遣いでは、学習者の辞書引きがうまくいかないためです。この表示を見たら、いまは別の本にしておくのが無難です。
「本棚にダウンロード」を押すと、青空文庫から本を直接取得し、章を見つけて本棚に入れます。通信が必要なのはこの手順だけです。
ステップ3:読み方を決める
読み方は3つあり、いつでも切り替えられます。
ページは Kindle のようにめくる表示です。スワイプか、余白をタップしてめくります。章の最後のページの次は、そのまま次の章の最初のページです。
スクロールは縦に続く一本の列で、最後に「次の章」ボタンがあります。
チャットは、章を一文ずつ会話のように届けます。「」のせりふは右側に出ます。仕掛けのように聞こえるかもしれませんが、学習者にとってはいちばん役に立つことが多い表示です。一文ずつなら、ページ全体が壁のように見えることがありません。
読書位置は3つで共有され、文の単位で保たれます。ページで数ページ読み、難しくなったらチャットに切り替える。それでも同じ文から続きを読めます。
「Aa」ボタンで表示設定が開きます。文字サイズ、行間、余白、明朝・ゴシック、背景色。行間の初期値を広めにしてあるのは、行の上の空きにふりがなを置いているからです。
ステップ4:最初の語を辞書で引く
語を長押しすると、端末標準の選択が出て、その上に「辞書で引く」「読み上げ」「コピー」「Jisho」「翻訳」が並びます。「辞書で引く」を押します。
日本語は分かち書きをしないので、選択がぴったり一語になることはまずありません。それで構いません。Niho は選択の先頭から始まる文字列を順に辞書に当て、辞書にある最も長い語を最初に、短い候補をそのあとに出します。「先生一人」を選べば「先生」が出て、2番目に「先」があります。
活用形は辞書形に戻して引きます。そのとき、どう戻したかも表示されます。「食べました」は「食べる」に、手順の名前つきで。見出しには品詞ごとの語義、JLPT レベル、常用語かどうか、そして漢字ひとつずつの意味・音読み・訓読み・学年・画数が並びます。語義は JMdict の英語です。自分の言語で確かめたいときは「翻訳」で Google 翻訳をアプリ内のシートに開けますが、ここは通信が必要です。
ステップ5:ふりがなに任せる
ふりがなは、底本に印刷されていたところにだけ出ます。児童書ではほとんどの漢字に、大人向けの小説では難しい漢字にだけ振られています。小説からではなく「はじめの一冊」から始めたほうがよい理由がもうひとつここにあって、あの棚の本のほうが読みの助けが多い傾向があります。
いらなくなったら、表示設定の「ふりがなを表示」をオフにします。
ステップ6:単語帳をのぞく
引いた語は、読み、意味、そして出会った文と一緒に、自動で「単語」タブに保存されます。大事なのは最後の文です。実際に読んだ文についている語は、一覧の中の語よりずっと覚えやすいと私は考えています。
同じタブに JLPT N5〜N1 の単語リストも入っています。
ステップ7:最初のクイズは翌日に
「クイズ」タブは、自分が引いた語から問題を作ります。本の実際の文を使った穴埋め、単語から意味、意味から単語、そして漢字語の読みを仮名で入力する「読み」。語は5段階のライトナー方式で動きます。正解すれば次に出るまでの間隔が延び、間違えれば早めに戻ってきます。
最初の夜は、まだ出題する語がほとんどありません。読んで、引いて、クイズは翌日に開いてください。1日の目標の初期値は20問で、数分で終わります。
最初の1週間の目安
正直に言うと、最初の一冊はゆっくりです。はじめは1ページに何度も辞書を引くのがふつうで、その回数は思ったより早く減っていきます。同じ作者の文章には、同じ語が何度も出てくるからです。
ひとつ、先にお伝えしておきたい制約があります。Niho の本文は横書きです。青空文庫の本はもともと縦書きで印刷されたものですが、アプリを作っている Flutter が、いまのところ縦書きの組版に対応していません。1ページ目で気づかれるより、ここで書いておきたいと思います。
次に読むなら
最初の本を開いたら、Niho と他の読み方の比較、毎日の読書のヒント、どんな人のためのアプリ?もどうぞ。関連記事はNiho タグにまとめてあります。
「はじめの一冊」の最初の本を選んで、今夜、1ページ目を読んでみてください。
