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教科書体と活字で形が違うひらがな:き・さ・そ・り

Hiroki ObaraHiroki Obara · DeveloperStudyX Japanese Letters Tracer使い方
教科書体と活字で形が違うひらがな:き・さ・そ・り

文化審議会国語分科会が2016年にまとめた「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」の参考資料には、同じ漢字を明朝体、ゴシック体、教科書体などの書体で並べた図があります。書体によって形にかなりの違いがあっても、私たちはそれを同じ字として読む、という説明です。そして、こうした文字の見分け方は、漢字に限らず、平仮名や片仮名、ローマ字、数字でもほぼ同じだ、と書いています。

こどもが絵本を指さして、「この『き』、学校で習ったのと違う」と言うことがあります。本やパソコンの画面の字と、教科書の字とで、ひらがなの形が違うからです。この記事では、形の違いが目立つ字を取り上げ、どちらが正しいのか、書くときはどちらに合わせればよいのかを整理します。

教科書体とは

小学校の教科書の字は、教科書体と呼ばれる書体で印刷されています。手で書く楷書の形に近づけた書体で、画の数や、線が離れているかつながっているかが、手で書くときの形に合わせてあります。

一方、新聞や本の本文によく使われる明朝体、画面や看板に多いゴシック体は、読みやすさや見た目の整い方を優先して作られています。そのため、手で書くときには離す線が、つながって見えることがあります。

き:3画目と4画目を離す

きは、学校では4画で書きます。横画を2本書き、3画目で斜めに下ろし、4画目で下の曲がった線を書きます。3画目と4画目は離します。

明朝体やゴシック体の多くでは、この3画目と4画目がつながって、全体で3画のように見えます。絵本の「き」を見て、つなげて書いてしまうこどもがいるのはこのためです。

さ:2画目と3画目を離す

さは3画です。横画を書き、2画目で斜めに下ろし、3画目で下の曲がった線を書きます。「き」と同じように、2画目と3画目は離します。

活字では、ここもつながって見えることが多く、2画の字のように見えます。「き」と「さ」は、下の部分の形が同じ仲間だと考えると、まとめて覚えられます。

そ:1画で書く

そは、学校では1画で書きます。上の折れから、下の大きな曲がりまで、一筆で続けます。

書体や手書きの字によっては、上の部分が離れて、2画のように見える形もあります。こちらは、つながっているはずのものが離れている例です。

り:二つの線を離し、1画目ははねる

りは2画です。1画目は短い縦の線で、終わりを右上に小さくはねます。2画目は長い線で、上から下ろして左へ払います。

書体によっては、二つの線がつながって、1画のように見えるものがあります。学校で習う形では、1画目のはねは2画目に向かいますが、線どうしはつながりません。

ふ:4画で書く

ふも、活字と手書きで違って見えやすい字です。学校では4画で、上の点、真ん中の曲がった線、左右の点の順に書きます。書体によっては上の二つの画がつながって見えます。

なぜ形が違うのか

ひらがなは、漢字をくずした形からできています。「き」は「幾」、「さ」は「左」、「そ」は「曽」、「り」は「利」、「ふ」は「不」です。筆で続けて書かれた字が元になっているので、筆の流れがそのまま形に残った字もあれば、手で書きやすいように画を分けて整えた字もあります。

私の理解では、活字のつながった形は、筆の流れを残した形に近く、教科書体の離れた形は、手で一画ずつ書くための形です。どちらかが字として間違っているわけではなく、目的が違うのだと思います。

どちらが正しいのか

ここからは私の考えです。

**読むときは、どちらも同じ字です。**上の指針は漢字についてのものですが、書体による形の違いを超えて同じ字として読む、という考え方は平仮名にも当てはまると書いています。絵本の「き」も、教科書の「き」も、同じ「き」です。こどもに聞かれたら、「本の字は印刷の形、手で書くときの形は教科書の形」と答えるのがよいと思います。

**書くときは、教科書の形に合わせます。**学校で習う画の数と書き順は、教科書の形をもとにしています。「き」を4画で書くと決まっているのは、3画目と4画目が離れているからです。つなげて書く癖がつくと、書き順もくずれやすくなります。また、離して書くほうが、こどもの手には形を整えやすいと私は考えています。

**つなげて書いても、叱るほどのことではありません。**大人の手書きでは「き」や「さ」をつなげて書く人も多く、それで読めなくなることはありません。ただ、書き始めの時期は、形を一つに決めて練習するほうが迷いません。私は、こどもがつなげて書いたら、教科書の字と並べて「ここは離すよ」と一か所だけ伝えるのがよいと考えています。

家でできること

お手本を用意するときは、明朝体やゴシック体で印刷するより、教科書体のお手本を使うのがよいと思います。名前の練習などで自分でお手本を作るときも、フォントの選択肢に教科書体があれば、それを選びます。

絵本の字と教科書の字を並べて、違うところを探す遊びもできます。「き」「さ」「そ」「り」を見つけたら、どこが違うかを言ってもらいます。字の形に目を向けるきっかけになると思います。

かきカタで

かきカタは、ひらがなとカタカナの書き順を練習できる iPhone・iPad 向けのアプリです。字を選ぶと、お手本の線が書き順どおりに一画ずつ伸びていきます。指やペンで1画書いて離すと次の画のお手本が出て、前の画のお手本は消えます。採点や正誤の判定はありません。

お手本の画の数は、学校で習う形に合わせてあります。「き」は4画、「さ」は3画、「そ」は1画、「り」は2画で、「き」の3画目と4画目、「さ」の2画目と3画目は、それぞれ別の画として一本ずつ伸びていきます。離すところでは、お手本の線もいったん止まるので、画の切れ目を目で確かめながら書けます。

収録しているのは、ひらがなとカタカナの清音・濁音・半濁音の142字です。拗音(きゃ など)や小さい「っ」は入っていません。お手本の字の大きさは大・中・小の3段階で変えられ、十字の補助線を出すこともできます。スピーカーのボタンを押すと、その字の読みが流れます。1,500円の買い切りで、広告やアプリ内課金はありません。iPhone では横向きで使います。

形の似たひらがなは形が似ているひらがなの書き分けに、書き順を間違えやすい字はひらがなの書き順で間違えやすい字に、使い方はかきカタの始め方にまとめています。

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