あいうえおのアプリを作った理由:五十音表に「声」を足す

日本語の文字の学習は、2 歳のお子さまでも大人の学習者でも、たいてい同じ場所から始まります。五十音表です。この記事では、私たちがなぜこの昔ながらの表をアプリにしようと思ったのか、そして何を変え、何を変えなかったのかをお話しします。
みんなが出発点にしてきた表
五十音表は、日本語の文字学習の定番の入り口です。教室やこども部屋の壁に貼られ、何世代もの人がこの表で最初の文字に出会ってきました。このアプリを作った私たち自身もそうです。五十音表のすごさは、その構造にあります。「あ・い・う・え・お」の 5 つの母音を軸に、子音ごとの行が並び、すべての文字が音のとおりの場所に収まっている。表を覚えることは、文字だけでなく、日本語の音の仕組みそのものを身につけることでもあるのです。
紙のポスターにできないこと
紙の表には、ひとつだけ大きな限界があります。音が出ないことです。かなは表音文字で、1 文字がそのまま 1 つの音節。つまり、学ぶべきことの半分は「音」です。紙の表では、その半分を、こどもが知りたがるたびに大人が読み上げて補う必要があります。
日本の家庭なら、それで困らないことも多いでしょう。けれど、こどもが「これなに?」と思ったその瞬間に、日本語を読める大人がそばにいるとは限りません。海外で子育てをしているご家庭、保護者自身が日本語を学習中のご家庭、夜にひとりで学ぶ大人の学習者。そうした環境では、壁のポスターは役割の半分しか果たせないのです。
表が「話す」ようにする
私たちのアイデアは、あえて小さなものにしました。みんなが知っている五十音表はそのままに、紙にはできないことをひとつだけ足す。文字をタップすると、ネイティブの音声で読み上げる。それだけです。
このひとつの仕組みが、表の「持ち主」を変えます。始めるためのレッスンも、読まなければいけないメニューも、守るべき順番もありません。まだ文字がまったく読めないお子さまでも、アプリ全体をひとりで使えます。タップするのが楽しいからタップする。すると文字が答えてくれる。学びが、大人のスケジュールではなく、こども自身の好奇心で進むようになります。大人はそばに座っていても、少し離れていても、表はちゃんと話し続けてくれます。
「全部入り」で、安心して渡せること
ほかに大切にした決断が 2 つあります。1 つ目は網羅性です。基本の五十音で終わる表も多いのですが、実際のことばには濁音・半濁音・拗音がすぐに登場します。「がっこう」の「が」、「ぱん」の「ぱ」、「きゃく」の「きゃ」。だから、アプリではすべてカバーしました。2 つ目は安全性です。広告なし・データ収集なし。幼いお子さまに渡すためのアプリは、本当に安心して渡せるものであるべきだと考えたからです。
この土台の上に、表という形式が自然に呼び込む機能を加えました。ひらがな・カタカナ・ローマ字(大文字/小文字)の 4 つの表示モード。表のすぐそばで、聞いたばかりの文字を指や iPad の Apple Pencil でなぞれる、なぞり書き。そして、単語の音声を聞いて、聞こえた文字を順にタップして答える、ききとりクイズです。
小さなことを、ていねいに
あいうえおのアプリは、日本語の総合教材ではありませんし、そう名乗るつもりもありません。はしごの最初の 1 段である五十音表を、音の出る楽しいものにする。それがこのアプリの仕事のすべてです。こども向けの道具は、控えめで、その範囲の中では完全で、自分が何者かに正直であるべきだと私たちは考えています。
実際の使い方はあいうえおのアプリの始め方で、想定しているご家庭や学習者についてはあいうえおのアプリはどんな人のため?でご紹介しています。日々の活用のヒントはあいうえおのアプリ活用アイデアに、アプリの詳細は製品ページにまとめました。関連記事は aiueo タグからどうぞ。
五十音表は、何世代にもわたって日本語を教えてきました。私たちはそこに「声」を足しただけです。あなたのご家庭でも、表が話しはじめてくれたらうれしいです。
