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レベル別の洋書の選び方:初心者が最初の一冊で挫折しないために

Hiroki ObaraHiroki Obara · DeveloperABC George使い方
レベル別の洋書の選び方:初心者が最初の一冊で挫折しないために

Oxford University Press の多読用シリーズ Oxford Bookworms Library は、7つの段階に分かれています。いちばんやさしい Starter は見出し語250語で書かれ、そこから Stage 1 が400語、Stage 2 が700語、Stage 3 が1,000語、Stage 4 が1,400語、Stage 5 が1,800語、Stage 6 が2,500語と上がっていきます(オックスフォード大学出版局の日本のページ)。学習者向けの本には、このように「何語で書かれているか」というラベルがついています。

一方で、Project Gutenberg に並んでいるような原書には、ラベルがありません。「不思議の国のアリス」と「白鯨」は同じ棚に並んでいて、どちらも英語の名作です。この記事では、多読用の本の段階表をどう使うかと、ラベルのない原書のレベルをどう見積もるかを書きます。最初の一冊で挫折しないための選び方です。

段階表の数字の読み方

見出し語の数は、その段階の本で使ってよい語の範囲です。250語の本は、だいたい250語とその変化形で書かれています。自分の語彙がそれを上回っていれば、知らない語はほとんど出てこないはずです。

同じページには、ちょうどよい段階かどうかの目安も書かれています。1ページに知らない語が1つか2つまでであること。1分に8行から10行くらい読めること。読んでいる内容のほとんどが分かること。この三つです。私はこの目安が実用的だと思います。語彙の数を自分で正確に測るのは難しいですが、1ページを読んでみることは誰にでもできるからです。最初のページで確かめる具体的なやり方は、英語多読のやり方に書きました。

段階を選ぶときは、少し低めから始めるのがよいと考えています。やさしすぎると感じたら上げればよく、上げる判断は数冊読めばつきます。難しすぎる本から入ると、本を替える前に読むこと自体が嫌になりかねません。

原書の難しさを決めるもの

原書には段階がないので、手がかりを自分で集めることになります。私が見ているのは次の四つです。

一つめは長さです。語数は、読み切れるかどうかに直結します。Project Gutenberg のテキストで、前後の案内を除いて数えてみると、ビアトリクス・ポターの「ピーターラビットのおはなし」は約1,000語、「オズの魔法使い」は約4万語、「ハックルベリー・フィンの冒険」は約11万語、「白鯨」は約21万語でした。同じ「名作」でも、200倍以上の差があります。最初の一冊は、数万語までの本にしておくのが無難だと思います。

二つめは書かれた時代です。古い本ほど、一文が長く、今は使わない語や言い回しが増えます。1719年の「ロビンソン・クルーソー」は、話の筋こそ単純ですが、文の長さに慣れるまで時間がかかります。19世紀後半から20世紀初めのこども向けの本のほうが、今の英語に近く感じられることが多いです。

三つめは方言と話し言葉です。会話を方言のまま書いた本は、辞書に載っていない綴りが続きます。「ハックルベリー・フィンの冒険」の冒頭には、作者マーク・トウェインによる「この本では多くの方言を使っている」という断り書きがあり、南西部の奥地の方言や「パイク郡」の方言など、いくつもの方言が挙げられています。英語を母語とする読者に向けた、念入りな仕掛けです。学習者にとっては、それがそのまま壁になります。

四つめは言葉遊びです。「不思議の国のアリス」は約2万7千語と短く、筋も追いやすい本ですが、笑いの多くが語呂合わせです。単語を全部調べても意味が取れない行があります。短いから易しい、とは限らない例です。

最初の一冊に向かない名作

名作であることと、最初の一冊に向いていることは別だと思います。上の四つの手がかりで見ると、次のような本は二冊目以降、あるいはずっと先にとっておくのがよいと考えています。

「白鯨」は長さに加えて、物語の途中に鯨の分類や捕鯨の道具についての章が何度もはさまります。話の流れで読み進める多読には、向かない作りです。「ハックルベリー・フィンの冒険」は、先に書いたとおり方言の壁があります。「嵐が丘」(約12万語)は、召使いジョーゼフの台詞がヨークシャーの方言で書かれていて、ここで止まる学習者は多いと思います。シェイクスピアは韻文で、しかも400年以上前の英語です。

どれも読む価値のある本です。ただ、最初の一冊で「英語の本は読めない」と感じてしまうと、その次がなくなります。読めると感じる経験を先に積むほうが、結局は早く名作にたどり着けると私は考えています。

英検や TOEIC のスコアとの関係

英検の級や TOEIC の点数から、読める本を決められないか、と考える方は多いと思います。多読用のシリーズの中には、自社の段階と CEFR などとの対応を示しているものがあり、出版社のページで確かめられます。ただし、これは出版社が示す目安です。

原書については、公式な対応はありません。試験のスコアは試験の問題を解く力を測ったもので、ある本を楽しく読み切れるかどうかは、語数や題材や文体にも左右されます。試験の点数を CEFR に置き換えるときの注意は、CEFR と英検・TOEIC・ケンブリッジ英検の対応表の見方にまとめました。私はスコアを「どのあたりから試すか」の出発点に使い、最後は1ページ目で決めるのがよいと思います。

段階から原書へ移るとき

多読用の上の段階に慣れてきたら、原書に移る時期です。そのときは、筋を知っている話、寓話や童話のような短い話、こども向けに書かれた本から入ると、段差が小さくなります。ジャンルで選ぶのも一つの手です。探偵小説は筋の引っぱる力が強いので、多少の知らない語があっても先を読みたくなります。

うまくいかなかったら、多読用の本に戻ってかまいません。行ったり来たりしながら、原書の割合を少しずつ増やしていけばよいと思います。

ABC George で本を選ぶ

私が作っている iPhone・iPad 用の無料の多読アプリ ABC George は、Project Gutenberg の英語の本の目録をアプリに入れたものです。収録は61,000冊以上で、通信なしで題名や著者を検索できます。多読用のシリーズは入っていないので、この記事でいう原書の段階で使うアプリです。

本を探す画面には、学習者向けに選んだ短く平易な名作30編の「Start here」のほか、「Children」「Fairy tales」「Short stories」「Detective」などのジャンル別の棚があります。上で書いた、こども向けの本や短い話、探偵小説から入る方法は、この棚から選べます。読みながら単語を長押しして「Look up」を押すと、やさしい英語の定義と WordNet の語義が出ます。1ページに何度も引くようなら、それは本を替える合図だと考えてください。

広告もアカウント登録もなく、本をダウンロードしたあとはオフラインで読めます。Project Gutenberg そのものについてはProject Gutenberg とはに、最初の一冊までの手順はABC George の始め方に書きました。

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