こどもの楽譜の読み方:どこから教えるか

ピアノの楽譜は、5本の横線でできた五線の上に書かれます。左端の記号は「音部記号」と呼ばれ、どの線がどの音かを決めています。Wikipedia の「音部記号」によると、ト音記号は五線の下から2本目の線に置かれ、その線が中央のドのすぐ上のソであることを示します。ヘ音記号は下から4本目の線に置かれ、その線が中央のドのすぐ下のファであることを示します。
大人にとっては見慣れた決まりですが、こどもにとっては、たくさんの黒い丸と線が並んでいるだけに見えます。この記事では、こどもに楽譜の読み方を教えるとき、どこから始め、どの順番で進めるのがよいと私が考えているかを書きます。
楽譜が伝えていることは二つです
楽譜の音符は、主に二つのことを伝えています。
- 音の高さ。 音符が五線のどの高さにあるかで決まります。上にあるほど高い音です。
- 音の長さ。 音符の形で決まります。白い玉か黒い玉か、棒や旗がついているかで、何拍のばすかが分かります。Wikipedia の「音符」に、音符の種類と長さの関係がまとめられています。
最初から両方を一度に教えようとすると、こどもは混乱します。私は、高さと長さを分けて、ひとつずつ教えるのがよいと考えています。
高さを教える順番
1. 上にあるほど高い音
最初は音の名前を教えなくてかまいません。「上にある音符は高い音、下にある音符は低い音」ということだけを伝えます。鍵盤で高い音と低い音を弾き比べてから、紙に描いた五線の上と下に丸を置いてみると、つながりが分かりやすいと思います。
2. 線の上と、線の間
次に、音符には線の上にあるものと、線と線の間にあるものがあることを教えます。線の真ん中を玉が通っていれば「線の音」、線と線の間に玉が収まっていれば「間の音」です。ここが見分けられないと、隣り合う二つの音を取り違えます。
3. 目印になる音を一つ決める
いきなりすべての音の名前を覚えるのは大変です。私は、まず目印になる音を一つだけ覚えるのがよいと考えています。いちばん分かりやすいのは中央のドです。ト音記号の五線では、いちばん下の線のさらに下に、短い線を1本足して書かれます。この短い線が通った音符が中央のドです。
4. 目印から数えて読む
目印が決まったら、そこからいくつ上か、いくつ下かで読みます。線の音から一つ上は間の音、その上はまた線の音です。音符が線から隣の間へ移れば、鍵盤でも隣の鍵盤へ移ります。線から次の線へ跳べば、鍵盤は一つ飛ばしになります。
一つずつ名前を思い出すより、前の音からどれだけ動いたかを見るほうが、実際に弾くときには速く読めます。名前はあとから自然についてくると私は思います。
長さを教える順番
長さは、目で読む前に、体で感じるほうが分かりやすいと思います。手をたたいて、4分音符は1回たたく、2分音符はたたいてから1拍のばす、というように、音符の形とたたき方を結びつけます。
順番としては、4分音符、2分音符、全音符のように、同じ拍の数え方で長くなっていくものから始めるのが分かりやすいと思います。8分音符のように1拍を分けるものは、拍を数えることに慣れてからで遅くありません。
音符に読み仮名を書くことについて
音符の下に「ド」「レ」と書き込む方法は、よく使われます。すぐに弾けるようになるので、こどもは喜びます。
ただ、読み仮名があると、こどもは音符ではなく文字を読むようになります。仮名を外したとたんに読めなくなる、ということが起きやすいのです。
私は、読み仮名を書くなら、目印の音だけにするのがよいと考えています。中央のドにだけ「ド」と書いておけば、ほかの音はそこから数えて読むことになります。仮名を全部の音符に書いてしまった場合は、少しずつ減らしていけばよいと思います。
保護者が楽譜を読めない場合
保護者が楽譜を読めなくても、教えることはできると私は思います。この記事で書いた順番は、上と下、線と間、目印の音、そこから数えること、の四つだけです。どれも一緒に確かめながら進められます。
ひとつ便利なのは、ト音記号とヘ音記号の形そのものが目印になっていることです。ト音記号は書き始めの渦巻きが下から2本目の線を囲むように書かれ、その線がソです。ヘ音記号は二つの点が下から4本目の線をはさみ、その線がファです。分からなくなったら、記号の形に戻って確かめれば足ります。
一緒に読めないところがあっても、それを隠す必要はないと思います。「これは何の音だろうね」と一緒に数える姿を見せることも、こどもにとっては楽譜との付き合い方を知るよい機会になると私は考えています。
読むことと弾くことの間
楽譜が読めることと、楽譜を見ながら弾けることは、少し違います。弾いている最中は、目は楽譜を見て、手は鍵盤を探します。最初はどちらかに気を取られて止まってしまうのが普通です。
ですから、家では「読む練習」と「弾く練習」を分けるのも一つの方法だと思います。読む練習は紙と鉛筆でもできますし、弾く練習は耳で覚えた曲でもかまいません。両方に慣れてきたころに、楽譜を見ながら弾く練習を足していけばよいと思います。
楽譜を見ながら弾く練習に
キンダーピアノは、3歳ごろから小学校低学年までのこども向けの、iPhone と iPad で使うピアノアプリです。4歳の娘のために作りました。練習の画面ではト音記号とヘ音記号の楽譜が出て、次に弾く音符がハイライトされ、その音符の上に指番号、押す鍵盤が光ります。楽譜の音符には音の名前は書いていないので、この記事で書いた「上と下」「線と間」を、光る音符と鍵盤を見比べながら確かめることになります。
「ゆっくり」モードは正しい鍵盤を押すまで待ってくれるので、一音ずつ楽譜と鍵盤を見比べられます。「リズム」モードは流れる楽譜に合わせて弾くので、長さを読む練習になります。「じゆうに ひく」では、押している音の和音名が出ます。
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指番号の読み方は ピアノの指番号とは に、始める時期については ピアノは何歳から始めるか に書きました。
