こどもと詰将棋:何歳から、何手詰から始めるか

日本将棋連盟が主催するテーブルマークこども大会は、「小学生以下(未就学児含む)」が対象です。部門は低学年(3年生以下)と高学年(4年生から6年生)に分かれていて、会場には「詰め将棋クイズコーナー」もあります。小学校に上がる前から将棋を指すこどもは珍しくありませんし、詰将棋はその入口のひとつになっています。
では、こどもに詰将棋をさせるのは何歳からがよいのでしょうか。私は、年齢で決める必要はないと考えています。この記事では、年齢のかわりに見ておきたい条件と、何手詰から始めるか、保護者が答えを知らなくても付き合える方法を書きます。
年齢より先に見ること
詰将棋を始める前に、次の三つができているかを見ておくと、つまずきが少ないと思います。
駒の動きを覚えている。 詰将棋は、駒の利きを数える遊びです。金と銀の違いや、桂馬の跳び方があいまいなうちは、正解の手を見ても、なぜ詰んでいるのかが分かりません。駒の動きを覚える順番は 将棋の駒の動き に書きました。9×9の盤が大変なら、どうぶつしょうぎから入る方法もあります。
王手と詰みの区別がつく。 王手は「次に玉が取られる」状態で、詰みは「どうやっても王手を解けない」状態です。玉が逃げる、王手をかけている駒を取る、間に駒を置く。この三つがどれもできないときが詰みです。こどもに聞いて、この三つを自分の言葉で言えれば十分です。
持ち駒を打てることを知っている。 詰将棋の多くは、持ち駒を打つ手で詰みます。対局でまだ駒を打ったことがないこどもには、取った駒は自分の駒として好きなマスに打てる、というルールを先に一度見せておくとよいと思います。
盤の「5二」のような符号は、最初は読めなくても構いません。とくに段の一、二、三は漢数字なので、小さいこどもには読みにくいところです。最初は保護者が指で「ここ」と示せば足ります。
1手詰から始める
始めるなら、1手詰がよいと私は考えています。
1手詰は、一手指して詰みになれば正解です。たとえば次の局面です。
局面: 玉方の玉が5一。攻め方の歩が5三。持ち駒は金。
5二に金を打つと詰みです。金が玉の左右と斜め前を押さえ、5三の歩が金を守っているので、玉は金を取れません。玉は一番下の段にいるので、後ろにも逃げられません。玉の頭に金を打つこの形を「頭金」と言います。詰みの基本の形は 将棋の詰みの基本形 にまとめました。
1手詰のよいところは、相手の手を読まなくてよいことです。「この手で、玉はどこかに逃げられるか」を、玉のまわりの8マスについて確かめるだけで答えが出ます。詰将棋の考え方の一番大事な部分が、この確かめ方です。こども向けの1手詰の問題集も市販されています。
正直に書くと、私が作っている Shogi365 には1手詰がありません。いちばんやさしい問題が3手詰です。1手詰は簡単すぎるとして収録しなかったのですが、将棋を覚えたばかりのこどもにとっては、1手詰が先にあったほうが入りやすいと思います。1手詰は本で始めて、慣れてからアプリの3手詰に進む、という順番を勧めます。
3手詰に進む目安
1手詰がすらすら解けて、なぜ詰んでいるのかを説明できるようになったら、3手詰に進む頃合いだと思います。「どこにも逃げられないし、取れない」と、こどもが自分で言えるかどうかが目安です。
3手詰は、王手、玉方の応手、詰みの3手です。1手詰との違いは、相手の手を一つ考えなければならないことです。ここで多くのこどもが止まります。正解の初手は、駒をただで渡すように見える手であることが多く、大人でも最初は見えません。
止まったときは、本物の盤に駒を並べて、実際に動かしてみてよいと思います。頭の中だけで読むのは、慣れてからで間に合います。3手詰の読み方は 詰将棋の始め方 に、よく出てくる捨て駒の型は 詰将棋の基本手筋 に書きました。
答えが分からなくても付き合える方法
保護者が将棋に詳しくなくても、詰将棋には付き合えます。答えを教える必要はありません。聞き役になるだけで足ります。
王手を全部言ってもらう。 詰将棋では、攻め方の手はすべて王手です。「王手になる手を全部言ってみて」と聞くと、こどもは候補を順番に探します。打てる駒、動かせる駒を一つずつ挙げていくので、闇雲に指すことが減ります。
玉の逃げ道を数えてもらう。 こどもが指したい手を決めたら、「そうしたら、玉はどこに逃げられる?」と聞きます。こどもが玉のまわりのマスを指で一つずつ確かめるのを見ていれば、答えを知らなくても、どこで見落としたかは分かります。
答えは最後にいっしょに見る。 本の解答を見るのは、こどもが「これで詰む」と決めてからにします。正解だったら、なぜ詰むのかをもう一度言ってもらいます。違っていたら、正解の手を盤に並べて、玉がどう逃げられなくなるのかをいっしょに確かめます。
時間は短くてよいと思います。1日に数問でも、続けているうちに形が見えるようになります。詰将棋が実戦にどう効くかは 詰将棋で将棋は強くなるのか に書きました。
アプリを使うときに
Shogi365 は、3手詰・5手詰・7手詰・9手詰を各1000問収録した詰将棋のアプリです。こどもが使う場合に関係しそうな点を、事実だけ書いておきます。
- 王手でない手は指せません。指そうとすると盤が赤く点滅し、「その手は王手ではありません。」と表示されます。失敗には数えません。
- 王手なら正解でも不正解でも指せて、玉方が自動で応じます。手数以内に詰まなければ「詰みませんでした…」と表示され、3回までやり直せます。保護者が答えを知らなくても、詰んだかどうかは盤が判定します。
- ヒントを使うと、動かす駒と行き先のマスが光ります。指すのは自分です。
- 設定で「動ける場所を表示」をオンにすると、選んだ駒が行けるマスに印が付きます。駒の表記は、二文字(歩兵)と一文字(歩)から選べます。
- 「今日の一問」は3手詰・5手詰・7手詰から出ます。こどもには、難易度の「かんたん」(3手詰)から始めるほうが合うと思います。
App Store の年齢区分は4+で、広告があります。広告は1回の購入で消せます。こどもが勝手に購入しないための設定は こどもの課金を防ぐiPadの設定 にまとめました。
