小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」を書く位置:縦書きと横書き

1986年に内閣告示として出された「現代仮名遣い」には、拗音について「拗音に用いる「や,ゆ,よ」は、なるべく小書きにする。」、促音について「促音に用いる「つ」は,なるべく小書きにする。」と書かれています(文化庁「現代仮名遣い」本文)。
小学校では、1年生と2年生の国語で「長音、拗音、促音、撥音などの表記」を学びます(小学校学習指導要領)。ひらがなを一通り書けるようになったこどもが、次につまずきやすいのが、この小さい字です。小さく書くのは分かっても、マスのどこに書けばよいのかで迷います。この記事では、小さい字を書く位置と大きさについて、こどもに教える方と、日本語を学んでいる方に向けて書きます。
縦書きは右上、横書きは左下
小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」は、それだけで1マスを使います。そのうえで、縦書きならマスの右上に、横書きならマスの左下に寄せて小さく書きます。学校の作文や原稿用紙の使い方では、この書き方が一般的です。
私は、こどもに伝えるときは「前の字にくっつける」と説明するのがよいと思います。拗音の「きゃ」は、「き」と「ゃ」の二つの字で書きますが、一つの音です。小さい字は、前の字の仲間です。
- 縦書きでは、前の字は上にあります。 だから上に寄せます。
- 横書きでは、前の字は左にあります。 だから左に寄せ、字の下の線にそろえます。
縦書きで右に寄せる理由は、この説明だけでは分かりません。ここは「縦書きは右上」と決まりとして覚えてしまうのが早いと思います。
大きさの目安
大きさは、マスを十字に区切った四つの部屋のうち、一部屋に収まるくらいが目安だと思います。縦書きなら右上の部屋、横書きなら左下の部屋です。マスに十字の線が入ったノートを使うと、この部屋が目に見えるので、こどもにも伝わりやすくなります。
大事なのは、大きい字と見分けがつくことです。「びよういん」と「びょういん」は、「よ」を大きく書くか小さく書くかだけで、美容院と病院の違いになります。小さすぎて読めないのも困りますが、迷うなら、はっきり小さく書くほうを選びます。
形は、大きい字とまったく同じです。小さい「っ」は「つ」を、小さい「ゃ」は「や」を、そのまま小さくした字です。書き順も変わりません。
印刷の字とは位置が少し違う
本や画面の印刷された字を見ると、手書きの決まりと少し違うことに気づくかもしれません。日本語の組版の要件をまとめたW3Cの文書「日本語組版処理の要件」には、小書きの仮名は「縦組では文字の外枠の天地中央で右寄り,横組では文字の外枠の左右中央で下寄りに字面を配置する」とあります。
つまり印刷では、縦書きの小さい字は上下の真ん中で右に寄り、横書きでは左右の真ん中で下に寄っています。手書きの「右上」「左下」とは、少しずれています。
日本語を学んでいる方からは、本と教科書で位置が違う、と言われることがあるかもしれません。どちらも間違いではありません。手で書くときは、マスの右上、左下と覚えておけば十分だと思います。
行の最初に来たとき
印刷の組版では、小さい字を行の最初に置かない決まり(行頭禁則)があります。ただ、同じW3Cの文書は、小書きの仮名を行頭禁則にしない方法もあり、この方法を採用している書籍も多い、と書いています。
学校の作文では、小さい字も1マスを使うので、行の最初のマスに来たら、そのまま書いてよい、とする説明が多く見られます。句読点のように前の行の最後のマスに入れる扱いとは違います。学校や試験によって指示が違うこともあるので、迷ったら先生の指示に従ってください。
カタカナの小さい字
カタカナにも、同じ小さい字があります。「ッ」「ャ」「ュ」「ョ」のほかに、外来語では「ァ」「ィ」「ゥ」「ェ」「ォ」も使います。「ファ」「ティ」「ウィ」などです。書く位置は、ひらがなと同じです。
のばす音の「ー」は、小さい字ではありません。1マスの真ん中に、縦書きなら縦の線、横書きなら横の線で書きます。名前を書くときの小さい字と「ー」については、こどもが自分の名前をひらがなで書けるようになるまでにも書きました。
書く前に、音で確かめる
小さい字でつまずくこどもは、書き方より前に、音のところで迷っていることが多いと思います。「きって」と「きて」の違いが耳で分からなければ、「っ」を書く場所も分かりません。
私は、書く前に、言葉を言いながら手をたたいて音の数を数えるのがよいと考えています。「き・っ・て」は3回、「き・て」は2回です。「っ」は音が出ないのに、1回分の長さがあります。数え方はのばす音と小さい「っ」の聞き取りにまとめています。
拗音は、逆に気をつけたいところがあります。「きゃく」は「きゃ・く」で2回ですが、書くときは「き」「ゃ」「く」の3マスを使います。音の数とマスの数が合わない。ここで混乱するこどもは多いと思います。「きゃ」は一つの音だけれど、字は二つで書く。小さい字は前の字にくっついて一つの音になる、と伝えておくと、書く位置の説明にもつながります。拗音の読み方は濁音・半濁音・拗音とはに書きました。
かきカタで、小さい字のもとになる字を練習する
かきカタは、ひらがなとカタカナの書き順を練習できる iPhone・iPad 向けのアプリです。字を選ぶと、お手本の線が書き順どおりに一画ずつ伸びていきます。指やペンで1画書いて離すと、次の画のお手本が出ます。採点や正誤の判定はありません。
収録しているのは、ひらがなとカタカナの清音・濁音・半濁音の142字です。小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」と拗音は入っていません。ただ、上に書いたように、小さい字は大きい字と同じ形です。小さい字のもとになる「つ」「や」「ゆ」「よ」、カタカナの「ツ」「ヤ」「ユ」「ヨ」「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」は、かきカタで形と書き順を練習できます。拗音の前に来る「き」「し」「ち」や、「ぎ」「じ」「び」「ぴ」なども収録しています。
形が書けるようになったら、マスの中の位置と大きさは、十字の線が入ったノートで練習します。かきカタで十字の補助線を出すと、字の真ん中に縦と横の点線が出て、マスが四つの部屋に分かれて見えます。小さい字が入る「右上の部屋」「左下の部屋」の話をするときの、見本として使えると思います。画面にマス目の枠はなく、お手本の字の大きさを大・中・小の3段階で変えられます。
1,500円の買い切りで、広告やアプリ内課金はありません。iPhone では横向きで使います。濁点の位置については濁点・半濁点の書き方に、最初の使い方はかきカタの始め方に書いています。
