数字の書き方を幼児に教える順番

小学校学習指導要領(平成29年告示)の算数では、1年生の「数の構成と表し方」で、「個数や順番を正しく数えたり表したりすること」を学びます。数字を書いて数を表すことは、小学校に入ってから学ぶ内容です。
一方、幼稚園教育要領の領域「環境」には「日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ」とあり、入学前に求められているのは、数字を書けることより、数に興味をもつことです。それでも、カレンダーや時計を見て「これ、なんて書くの?」と聞いてくるこどももいます。この記事では、幼児が数字を書き始めるときの目安と、私が考える教える順番、つまずきやすい数字について書きます。
書く前に、数えることと線を引くこと
数字を書く練習は、二つの別々の力の上に成り立っていると私は考えています。一つは数の意味を分かること、もう一つは線を思った方向へ引けることです。
数の意味は、数字を書くことより先に、数えることで育ちます。こどもは「いち、に、さん」と唱えられるようになっても、すぐに数の意味が分かるわけではありません。心理学者カレン・ウィンの1990年の研究では、2歳から3歳ごろのこどもたちが、数を唱えることはできても、「3つちょうだい」と頼まれてちょうど3つ渡せるようになるのは、それよりあとでした。
ですから、数字を書く練習と、物を数える遊びは、別々に進めてよいと思います。「3」という形が書けることと、3つの物を見て「3」と分かることは、どちらかが先に終わるものではなく、並んで育っていくものだと考えています。
もう一つの線を引く力については、運筆練習とはに書きました。まっすぐな線、丸、曲がる線が楽に引けるようになっていれば、数字を書く準備はできています。鉛筆の持ち方は鉛筆の持ち方の教え方にまとめています。
何歳から始めるか
決まった年齢はありませんが、私は次のような様子が見えたら始めてよいと考えています。
- 丸や縦線を、だいたい思った大きさで引ける
- 数字に興味を示す。読もうとしたり、指でなぞろうとしたりする
- 10くらいまで数えられる
多くのこどもでは、4歳から5歳ごろだと思います。3歳でも興味があれば、なぞるだけの遊びとして始めてかまいません。
書きやすい数字から進める順番
数字は0から9の順に並んでいますが、書きやすさの順ではありません。私は、線の種類が易しいものから進めるのがよいと考えています。
1. 「1」と「0」。 「1」は上から下への縦線、「0」は丸です。どちらも運筆練習の線そのままなので、最初に向いています。「0」は上から書き始めて左へ回り、書き始めた場所に戻って閉じます。
2. 「7」と「4」。 まっすぐな線の組み合わせです。「7」は横に引いて、角で向きを変えてななめに下ろします。「4」は2画で、ななめ下に下ろしてから横に引く線と、縦の線に分かれます。どこで鉛筆を離すかを覚える練習になります。
3. 「6」と「9」。 丸と線の組み合わせです。「6」は上から曲がって下りてきて、下で小さな丸を作ります。「9」は先に丸を書いて、その右から縦線を下ろします。形が似ているので、並べて違いを見せるとよいと思います。
4. 「2」と「3」と「5」。 曲がる線と折れる線が混ざる、少し難しい数字です。
5. 「8」。 最後に残すのがよいと思います。
この順番は厳密なものではありません。自分の年齢の数字や、好きな数字から書きたがるこどももいます。そういうときは、その数字から始めてかまわないと思います。書けたという気持ちのほうが、順番より大事だと私は考えています。
つまずきやすい数字
「2」。 上の丸い部分から、ななめに下りて、下で折れて横に引きます。曲がる線、ななめの線、横の線が一筆の中に入っているので、途中で止まってしまいがちです。最初は大きく書いて、折れるところで一度止まってもよい、としておくと楽になります。
「5」。 日本では2画で書くのがふつうです。縦に下ろして右に丸く回るのが1画目、上の横線が2画目です。こどもは上の横線から書きたがることが多いので、書き順を一緒に確かめます。
「8」。 上から書き始めて、真ん中で線を交差させ、一筆で上下の二つの輪を作ります。どこで交わるのか分からなくなりやすい数字です。慣れないうちは、小さな丸を上下に二つ重ねて書いてもよいことにする、という教え方もあります。形が整ってから一筆書きに移っても遅くないと私は思います。
「3」と「9」。 左右を反対に書く「鏡文字」になりやすい数字です。研究では、1、2、3、7、9 のように左を向いた数字が反対に書かれやすいと報告されています。鏡文字については鏡文字を書くのはなぜかにまとめました。
国や地域による書き方の違い
数字の手書きの形は、国や地域によって少しずつ違います。英語版ウィキペディアの手書き文字の地域差の項目によると、ヨーロッパ大陸などでは「7」の真ん中に短い横線を入れて書くことがあり、「1」の上の線を長く伸ばす書き方と区別するためだと説明されています。「9」の縦線の下を曲げる書き方や、「4」の上を閉じる書き方もあります。
日本では、「7」の書き始めに短い縦の線をつける形もよく見ます。家族が海外で数字を習った場合などは、家の大人の書き方と学校の書き方が違うことがあります。どちらが間違いというわけではありませんが、こどもが迷わないように、家では学校の教科書の形に合わせておくのがよいと私は考えています。
家での練習のしかた
大きく書く。 最初は、一つの数字を手のひらくらいの大きさで書きます。小さいマスに書くのは、形が安定してからで十分です。
書き始めの点をつける。 数字の書き始めの場所に小さな丸をつけておくと、どこから書くかで迷いません。
数と量を一緒にする。 「3」を書いたら、その横にシールを3つ貼る、丸を3つ描く、というように、書いた数字と同じ数の物を並べます。数字の形と数の意味が結びつきます。
生活の中の数字を使う。 カレンダーの日付、時計、エレベーターの階数、家の番地。こどもが毎日目にする数字は、いちばん身近なお手本です。時計の読み方については時計の読み方の教え方に書いています。
1回は数分で。 数字を一つか二つ書いたら終わる、くらいの量で十分だと思います。0から9を一度に全部練習する必要はありません。
BrainDojoきっずでできること
BrainDojoきっずは、3歳から6歳向けの iPhone・iPad アプリです。数字は「はじめてのすうじ」(0から9まで)というコースで練習します。
このコースでは、数字が「1・2・3」「4・5・6」「7・8・9」「0・1・2・3」の組で出てきて、最後に5から9をまとめて書く「まとめ」があります。それぞれの組を「なぞる」「うつす」「かく」の3つのステージで進みます。「なぞる」ではお手本の線を1画ずつたどり、「うつす」では書き順のアニメーションを見ながら自分で書き、「かく」ではなぞる線のない枠に書きます。最初の「1・2・3」の3ステージは無料です。
アプリの書き順では、「4」「5」「7」は2画、ほかの数字は1画です。書いた数字は、その数字として読み取れれば正解になります。「はじめてのすうじ」をクリアすると、20までの足し算と引き算の「はじめてのけいさん」のコースが開きます。コースは日本語のほか、英語、中国語の設定でも使えます。
トレーニングの中には、ボールや指の数を数えて、その数を数字で書いて答える「ボールかぞえ」「ゆびかぞえ」などのゲームもあります。この記事の「数と量を一緒にする」練習にあたります。毎日入れかわる「きょうのトレーニング」3つと「おすすめ」4つは無料で、それ以外のゲームも各1回はおためしできます。
保護者の設定には1日の利用時間の上限があり、初期値は10分です。広告はなく、アカウント登録もいりません。基本は無料で、すべてのコースとゲームを使うにはプレミアム(月額または年額)の登録が必要です。
最初の使い方はBrainDojoきっずの始め方で、毎日つづけるコツはBrainDojoきっずを毎日つづけるためのヒントでご紹介しています。
