詰将棋の解答の読み方:▲▽、同、打、成、不成の表記

詰将棋の本を買って、問題を考え、解答のページを開く。そこに「▲5二金打 △同玉」のような文字が並んでいて、どの駒がどこへ動いたのか追えない。将棋を覚えたばかりのころには、よくあることだと思います。
この表記は、将棋の棋譜の書き方そのものです。決まりはそれほど多くありません。この記事では、詰将棋の解答を読むのに必要なものを、出てくる順に書きます。
マスの名前:筋と段
将棋盤は縦9列、横9段です。マスは「筋」と「段」の組で呼びます。
- 筋:縦の列。先手から見て、右端が1筋、左端が9筋。算用数字で書きます
- 段:横の列。先手から見て、向こう側の端が一段目、手前の端が九段目。漢数字で書きます
「5二」は、5筋の二段目です。盤のちょうど真ん中の列の、向こうから2段目にあたります。数字と漢数字を使い分けるのは、筋と段を取り違えないためです。
詰将棋では、玉方の玉はたいてい盤の上のほう、一段目から三段目のあたりにいます。解答に「1二」「2一」のような小さい数字が多いのは、玉が先手から見て右上の隅に追い込まれていることが多いからです。
筋が右から数えることは、初めての人がいちばん取り違えやすいところだと思います。左から数えるつもりで読むと、5筋だけは合っていて、ほかの手はすべて左右が逆になります。
▲と△
▲は先手、△は後手の手です。詰将棋では、詰ませる側の攻め方が▲、詰まされる側の玉方が△になります。解答では、▲△を省いて「5二金、同玉」のように書く本もあります。そのときは、1手目、3手目と奇数番目が攻め方、偶数番目が玉方です。▲を☗、△を☖と、駒の形の記号で書くこともあります。
駒の名前
マスの名前のあとに、動かした駒を書きます。駒は一文字で書くのが普通です。
- 歩、香、桂、銀、金、角、飛、玉
- 成った駒:と、成香、成桂、成銀、馬、龍
「▲5二金」は「攻め方が金を5二に動かす(または打つ)」という意味です。玉を「王」と書く棋譜もあります。龍は「竜」とも書きます。
同:直前の手と同じマス
「同」は、ひとつ前の手と同じマスに動いた、という意味です。「▲5二銀 △同玉」なら、攻め方が5二に銀を動かし、玉方の玉がその5二へ動いた、つまり銀を取った、ということです。
前の手と同じマスに動くのは、そこにある駒を取るときだけです。なので「同」が出てきたら、取った手だと読んでかまいません。マスの名前を書くかわりに「同」と書くので、「△同玉」だけを見ても場所は分かりません。前の手のマスを確かめてから読みます。
打:持ち駒を打つ
「打」は、持ち駒を盤に打った手です。ここが、詰将棋の解答でいちばん迷うところだと思います。
「打」は、いつも書くとは限りません。一般的な決まりでは、盤上にある同じ種類の駒もそのマスへ動けるときにだけ、区別のために「打」を付けます。盤上にそのマスへ動ける駒がなければ、打った手でも「打」は省きます。
たとえば、玉方の玉が5一、攻め方の歩が5三にいて、持ち駒が金のとき、金を5二に打てば詰みます(詰みの基本形の頭金の形です)。盤上に5二へ動ける攻め方の金はないので、解答は「▲5二金まで1手詰」と書かれ、「打」は付きません。
ですから、解答に「▲5二金」とあって、問題図の盤上に5二へ動ける金が見当たらなければ、それは持ち駒の金を打った手です。「打」がないから盤上の駒だ、と決めつけると、駒を探して迷うことになります。
成と不成
成れる場所に入った駒や、成れる場所から出た駒には、成ったかどうかを書きます。
- 成:成った。「▲2三銀成」なら、銀が2三に動いて成銀になった
- 不成:成れるのに成らなかった。「▲2三銀不成」
成れない動きのときは、何も付けません。古い本では、不成のかわりに「生」と書いてあることもあります。
詰将棋では、この「不成」が答えの急所になる問題がよくあります。銀は成ると斜め後ろに動けなくなりますし、角や飛車を成らずに動かすと、打ち歩詰めの反則を避けられる場合があります。解答に「不成」とあったら、なぜ成らないのかを考えると、その問題の意味が見えてくると思います。打ち歩詰めについては 詰将棋の細かいルール に書きました。
上・引・寄・直・右・左
同じ種類の駒が2枚以上、同じマスに動けるときは、どの駒が動いたかを区別する字を足します。詰将棋の解答では多くはありませんが、知っておくと迷いません。
- 上:前に進んだ
- 引:後ろに下がった
- 寄:横に動いた
- 直:真っすぐ前に進んだ(金や銀などで使います)
- 右・左:動かした側から見て、右の駒か左の駒か
先手の金が6九と4九にいて、どちらも5八へ動けるとします。先手から見て右にいるのは4九の金なので、4九の金が動けば「5八金右」、6九の金なら「5八金左」です。金が5九と4八にいて、どちらも5八へ動けるなら、5九の金は前に進むので「5八金上」、4八の金は横に動くので「5八金寄」です。
左右と前後は、いつもその駒を動かす側から見ます。後手の駒なら、先手から見たときと逆になります。
まで何手詰
解答の最後には「まで3手詰」のように、何手で詰んだかが書かれます。「迄」と漢字で書く本もあります。手数は、攻め方と玉方の手を合わせて数えます。3手詰なら、攻め方が2手、玉方が1手です。
本によっては、正解の手順のあとに「変化」として、玉方がほかの応手をしたときの詰め方も書いてあります。正解の手順だけを追うより、変化まで読むほうが、なぜその手順になるのかが分かりやすいと思います。
解答を読むときの順番
私は、解答を読むときに、次の順番を勧めます。
- 問題図を盤に並べる(盤がなければ紙に書き写す)
- 1手ずつ、マスの名前と駒を確かめて動かす。「同」は前の手のマス、「打」がなくても持ち駒の可能性を考える
- 最後の形を見て、なぜ詰んでいるのかを確かめる
頭の中だけで解答を読むと、2手目、3手目で駒の位置が分からなくなります。並べながら読むのが、結局いちばん速いと思います。
将棋の棋譜の表記には、ほかにも細かい決まりがあります。全体の決まりは、英語版 Wikipedia の Shogi notation にもまとまっています。駒の動き方は 将棋の駒の動き に、詰将棋の解き方は 詰将棋の始め方 に書きました。
Shogi365 の手順の表示
Shogi365 は、3手詰・5手詰・7手詰・9手詰を各1000問収録した詰将棋のアプリです。王手なら正解でも不正解でも指せて、玉方が自動で応じます。指した手は「▲5二金」「△同玉」「▲2二角成」のような、この記事と同じ形の表記で盤の近くに並んでいくので、解きながら棋譜の読み方に慣れられます。解いたあとは「感想戦」で、手順を一手ずつ戻したり進めたりできます。
